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どうする楽天!?出るか三木谷ウルトラC

Jul 7, 2023.三浦彰Tokyo,jp
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今、悪い意味で日本の経済界において最も注目を集めている企業は楽天グループだろう。2022年12月決算で過去最大の3728億円の赤字を計上。その赤字の根源になっているのが同決算で4928億円の損失を出したモバイル事業だ。第4の携帯キャリアとしての確立が急がれてはいるが一向に改善の兆しが見られない。このピンチを救うべく、楽天銀行が4月21日に東証プライム市場への上場を果たした。すったもんだはあったものの株価は一応の水準は保っているし、2027年3月期に経常利益700億円、預金量20兆円という経営目標を設定している。もちろんその最大株主は約63%の株を保有する楽天本体である。この楽天銀行をバックにしている限り、モバイル事業の4928億円程度の赤字は大したことがないという三木谷浩史社長(58歳)の強気も理解できないわけではない。

さらに5月31日には公募増資や第3者割当増資で2960億円の資本性資金調達を完了。うち1900億円はモバイル事業の運転資金に充て、残りは来年以降の5年間で1兆2000億円に及ぶ社債償還の一部に充てるという。

加えて楽天グループが目論んでいるのが楽天証券ホールディングスの上場だ。その東京証券取引所への上場申請が7月4日に行われた。しかし楽天グループにとってこの明るい話題にも関わらず、楽天グループ株はわずかに動いただけだった。楽天銀行で楽天が調達した700億円程度が楽天証券の上場でも調達できるにもかかわらずである。

さらに追い打ちをかけるように、日本郵政が保有する楽天グループの株価が大幅に下落したことを受けて、851億円の特別損失を第1四半期(2023年4月1日〜6月30日)に計上すると6月30日に発表があった。日本郵政は2021年3月に楽天グループと資本業務提携を結んだ。楽天が第三者割当増資の形で発行した1億3100万4000株を1499億円で購入したのだ。当時1100円程度だった楽天グループ株は現在529円と半分以下の水準になっており、特別損失計上の形で日本郵政はこれを今回減損処理したのだが、両社の信頼関係にヒビが入らなければ良いのだが。

楽天銀行の上場、資本性の資金調達、そして楽天証券の上場申請で明るい未来が見えるはずなのだが、株式市場はほとんど反応しない。上述したようにやれるだけの資金調達はしているのに、金食い虫のモバイル事業が湯水のようにその資金を使っているというのが実情だ。

なんとなく万策尽き果てたという感じの楽天グループにいよいよカウントダウンが始まったのではないかという声が聞こえるが、この声をハネ返せるのかどうか。三木谷社長の本当のウルトラCがそろそろ出そうな雰囲気なのだが。

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