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2021年秋冬オートクチュール コレクション総評

Jul 20, 2021.もりかおりTokyo, JP
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「ゴルチエ・パリ・バイ・サカイ」オートクチュールより

2021-2022秋冬パリ オートクチュール コレクションが7月5日から10日まで発表された。一時期はプレタポルテのデザイナーが飽和状態だったことから、そのサポートの場として、招待メンバーと称して若手たちがクチュール期間中に発表し、話題作りにも貢献した。しかし現状はデジタルコレクションへの切り替えもあって、純粋なクチュール発表の場に落ち着きつつある。今シーズンはフィジカルでの発表が増え、オートクチュール の存在感をアピールするかのような華やぎが戻ってきた。

今シーズンのトピックス
レジェント級のメゾンがクチュール界に続々復活!

80年代にボディコンスタイルで一世を風靡し、以降ファッション界のレジェンドとして崇められていたアズディン・アライア(Azzedine Alaia)がクチュールとプレタで復活した。2017年に創始者アズディン・アライアが逝去して以降、クリエイティブ・ディレクターを立てずに継続してきたが、メゾンは今年2月、ピーター・ミュリエ(Pieter Mulier)にその大役を任せた。ピーターは長年ラフ・シモンズ(Raf Simons)の右腕として活躍。「ジル・サンダー(JIL SANDER)」や「ディオール(DIOR)」「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」などラフが移動する先々に同行しラフを支えてきた人物が、満を辞して表舞台の場として選んだのがアライアだった。コレクションは2022冬春シーズン向けのプレタポルテとクチュールを発表。通常のシーズン構成ではないのは、かつてアライアが定めた発表方に従ったものだとか。作品もアライアの意志を受け継ぐべく、その価値観を共有しつつ現代流に解釈した。メゾンの本店やアトリエを構えるマレ地区のムーシー通りで行ったショーには、アズディンの盟友やラフ・シモンズ等、華やかな面々が駆けつけ、ピーターのデビューを祝福した。

他には半世紀もの時を経て「バレンシアガ(BALENCIAGA)」がクチュールに復帰。20世紀を代表するクチュリエのひとり、クリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balenciaga)が53年前に発表以降、クチュール部門は閉鎖状態だったが、プレタポルテの現アーティスティック・ディレクターであるデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)によって再スタートを切った。

そしてジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)も復活したクチュリエのひとり。昨年現役を引退したゴルチエだが、新プロジェクトとしてゲストデザイナーを招き、独自の解釈でメゾンのコードを引き継いでいくという試みが始まった。その第一弾として選ばれたのがサカイ(SACAI)のデザイナー、阿部千登勢だ。初のゲストデザイナーというプレッシャーを跳ね除け、「ゴルチエ・パリ・バイ・サカイ(GAULTIER PARIS BY SACAI)」としてクチュールの世界にもその存在をアピールした。

新しいところでは、前回のクチュール発表後、いきなり「ロシャス(ROCHAS)」のクリエイティブ・ディレクターに抜擢された24歳の新星シャルル・ドゥ・ヴィルモラン(Charles De Vilmorin)や、その「ロシャス」をかつて手掛けたオリヴィエ・ティスケンス(Olivier Theyskens)による新生「アザロ(AZZARO)」、バイデン米大統領就任式にレディ・ガガ(Lady Gaga)が着用し話題を集めたアメリカ人デザイナーのダニエル・ローズベリー(Daniel Roseberry)による「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」など、今回のクチュールメゾンの増加により、クチュール界の今後が楽しみになった。

ベスト3は次回紹介。

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