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決算分析:躍進のグローバル企業アシックスと転落する「ユニクロの影武者」マツオカコーポレーション

Feb 11, 2022.三浦彰Tokyo, JP
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2021年12月決算銘柄と2022年3月決算銘柄の第3四半期(2021年4月1日〜2021年12月31日)決算が続々と発表になっている。その中から大注目ということになるとアシックスの2021年12月決算(連結・日本基準)だろう。

・売上高:4040億8200万円(+22.9%)
・営業利益:219億4500万円(前年ー39億5300万円)
・経常利益:221億6600万円(前年ー69億2300万円)
・親会社株主に帰属する当期純利益:94億200万円(前年ー161億2600万円)

4年ぶりの年商4000億円突破で、前期の赤字決算から一変した驚異的決算だ。売上高営業利益率は5.4%で、当期の1株当たりの当期純利益は51円38銭、自己資本当期純利益率6.9%。

今期の業績予想は:
・売上高:4200億円(前年比+3.9%)
・営業利益:230億円(同+4.8%)
・経常利益:225億円(同+1.5%)
・親会社株主に帰属する当期純利益:135億円(+43.6%)
・1株当たり当期純利益:73円77銭
オミクロン株の跳梁跋扈で再びの感染拡大中であり控えめな業績予想だ。

当期の配当は1株当たり24円で前期と同額だが、今期は32円を予定している。
注目したいのは当期の地域別売上高(1億円以下切り捨て)だ。
日本:1099億円(+16.4%)
北米:861億円(+31.8%)
欧州:1066億円(+14.5%)
中華圏:525億円(+27.9%)
オセアニア:247億円(+24.2%)
東南・南アジア:109億円(27.5%)

この数字が示す通り、「アシックス」「オニツカタイガー」ともにグローバルブランドとしての地歩を固めているのだ。こうした日本ブランドはアパレル、スポーツなどの分野では「ユニクロ」「良品計画」などを数えるのみであり、ここに投資家の高い評価の理由がある。株価については、今回の驚異的決算を読み込んで、2021年に大きな動きがすでにあり、4月21日の年初来安値1635円から、11月25日の年初来高値3130円への7月で1.9倍の急騰相場があった。今回の驚異的決算が発表になったのは2月10日だったので週明けにどう株価が反応するのか注目だが、おそらく現在の2500円前後の株価に大きな変化はないだろう。すでに株価は今回の決算を織り込み済みのようだ。株価は1株あたりの純利益51円38銭の約50倍の水準であり、これは東証1部全銘柄の平均が現在1株当たりの純利益の約20倍であることを考えると、期待を含めてもかなり買われ過ぎているという感じはする。現在の株価を維持するためにはさらなる業績の拡大や刺激的な買い材料が必要になる。それが可能かどうか。しかし、日本のライフスタイル関連企業で世界で戦えるブランドを持っている数少ない存在ということでそれなりの評価は必要だろう。

今回第3四半期決算を発表した企業はおしなべて好決算を出した企業が多いのだが、2月9日に第3四半期(2021年4月1日〜2021年12月31日)決算を発表したマツオカコーポレーション(東証1部/本社広島県福山市)はかなり気懸りな内容だ。

・売上高:374億9900万円(ー9.8%)
・営業利益:1億4400万円(ー95.5%)
・経常利益:6億7800万円(ー79.7%)
・親会社株主に帰属する当期純利益:2億6900万円(ー90.7%)

同社は売上高の約70%をファーストリテイリングのOEMが占める企業(工場はすべて海外)であるが、需要の低下、一部の工場での操業制限、原油高を起因とする原材料価格高騰によるコスト高、世界的な物流の停滞などが業績低迷の原因と同社は説明している。「縫製業界の巨人」「ユニクロの影武者」と騒がれ、2017年12月13日に東証一部に上場した当日は、公募価格2600円に対して、始値は3800円で終値は3470円。さらに、2018年1月31日には5290円の高値を記録している。しかし、その後業績は急降下。ファーストリテイリングの売り上げや業績が大きく落ち込んでいるということはないので、同社から見捨てられたのか、あるいは納入価格を下げさせられたのか?理由は分からないが、高収益会社だったマツオカコーポレーションは、今期は赤字転落もあり得るような惨状である。OEM=下請け企業の限界ということなのか。株価もなんとか1000円を維持しているような有り様である。やはり他人のブランドでビジネスをして利益を上げるというのはなかなか難しいようである。なんとか業績の回復を期待したいものだが。

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