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ファーストリテイリング柳井正会長兼社長が決意表明「戦略とか小手先ではくサステイナビリティへの本気の取り組みだ」

Feb 2, 2021.高村 学Tokyo, JP
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ファーストリテイリングは2月2日、持続可能な社会の実現に向けたビジョンと最新の取り組みをまとめた「ファーストリテイリング サステナビリティレポート 2021」を発行し、公式ウェブサイト上で公開した。38ページで構成され、巻頭特集では代表取締役会長兼社長の柳井正氏とフランスの思想家・経済学者・未来学者のジャック・アタリ(Jacques Attali)氏の特別対談を掲載している。ジャック・アタリ氏は、フランスのフランソワ・ミッテラン 大統領の特別顧問を10年間務めるなど、仏政権の中枢で重要な役割を担った人物として知られ、これまでに80冊以上の書籍を出版し、22の言語に翻訳されている。総発行部数は1000万部を超え、代表作『2030年ジャック・アタリの未来予測』は日本でもベストセラーになった。柳井氏とアタリ氏は昨年10月、コロナ禍で変わる社会と企業の在り方について2時間のオンライン対話を実施、その内容が同レポートに収録されている。

ファーストリテイリングは、これまで20年にわたり持続可能な社会の実現を目指し、さまざまな活動をしてきた。取引先工場などのサプライチェーンにおける労働環境の改善や、従業員に対して人権尊重への理解を深めるための教育などを実施している。また、難民問題にも積極的に取り組み、難民認定を受けて定住が認められた人とその家族などの雇用を推進している。国連が昨年6月に発表した報告書によると、2019年時点で居住地を追われた世界の難民数は世界人口の1%に相当する7950万人にのぼり、世界人口の100人に1人が難民と言われている。

2月2日に開催された「ファーストリテイリング サステナビリティレポート 2021」のメディア説明会に登壇した柳井氏は、「戦略とか小手先のことではない。企業としてのあり方だ」と説明し、企業として本気になってサステイナビリティに取り組んでいくことを強調した。さらに、「平和で豊かな社会がない限り、企業の発展はあり得ない。本気で行動することを表明する。企業としての決意を世界に広く知ってもらうために『サステナビリティリポート』を大幅に刷新した。原料の調達からお客さまの手に届くまで、全てのサプライチェーンをサステイナブルなものにする。全ての商品をリユース、リサイクルしていく。コロナ・パンデミックで世界の状況は一変した。人々の移動は止まり、各国の経済は停滞し、かつてない危機に直面しているのが現状だ。しかし、もっとも必要なことは、個人も企業もポジティブに考え、ピンチをチャンスに変え、より良い社会を実現することだ。ジャック・アタリ氏は『サステナビリティリポート』の中で、『地球上に起きていることは一国では解決できない。自分のこととして考えることが大事だ』と言っている。地球そのものが有限だということを理解すべきだ。今の世代で地球は終わるかもしれないと思っている。経済、環境そして自分のビジネスがどうあるべきか、ポジティブな未来のためにはどうしたらいいかを真剣に考えるべきだ」と説明した。

ジャック・アタリ氏が言うように、企業単体でこうした課題を解決していくことには限界があるが、ファーストリテイリングのようなグローバル企業がサステイナビリティについて強い意思表明をし世界をリードしていくことは重要だ。追随する企業も出てくるだろう。なによりも消費者自身がこうした課題に目を向けて、意識改革をしていく必要があるはずだ。最後に柳井氏は地球環境に負荷をかけないためには、「自分が気に入った服を長く愛用することだ」と語った。

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