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進化した「ゾゾスーツ2」でZOZOはなにを目指すのか?プロジェクト責任者の山田貴康氏にインタビュー

Nov 9, 2020.高村 学Tokyo, JP
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想像戦略室計測プロジェクトの山田貴康本部長

「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を運営するZOZOは10月28日、3D計測用ボディスーツ「ゾゾスーツ(ZOZOSUIT)2」を発表した。旧型「ゾゾスーツ」は、黒と白の水玉模様が印象的で、自身で手軽に採寸できるとして大きな話題を集めた。今回、発表した新型「ゾゾスーツ」は、旧型と比べてマーカー数が約 50 倍に増加し、計測解像度が大幅に向上、アルゴリズムも大幅に改善したことから、曲部を含めより精緻に体型情報を捉えることが可能になった。ZOZOは、この計測テクノロジーを活用して新たなサービスを創出するパートナー企業を募集している。ファッションに限らず、フィットネスや予防医療、ヘルスケア、ゲーム、エンタメなど、様々な領域における活用を模索していくという。「ゾゾスーツ2」プロジェクト責任者の山田貴康・想像戦略室計測プロジェクト本部長は、「『ゾゾスーツ2』は、自宅にいながら、3Dレーザースキャナに匹敵する精度で計測可能な計測ソリューションです。共創していくサービスによっては非常に大きな市場があると思っています」と、語る。

「ゾゾスーツ」をベースにしたプライベートブランドは終了したものの、計測サービスは継続してきた。現在でも毎日数百人が計測しているという。旧型にあった課題の改善に取り組み、さらなる向上を目指し、開発を続けてきた。「旧型は計測のためのドットマーカーが約400個でした。それでは体型の大きな方ではマーカーの間隔もまばらになってしまいます。新型にはドットマーカーを平均20,000個配置しましたので、計測解像度が旧型と比べて大幅に改善されています。そのため、どのような体型の方でも、ハイスペックな3Dレーザースキャナー機に匹敵するレベルで全身計測ができ、しかもそれが瞬時にスマホだけでできてしまうのです」と、技術面での進化について説明する。

スーツのデザインは黒と白のドットが全身に配置されており、限られた面積のなかでいかに多くの情報を拾うか、試行錯誤したという。デザインとは、単に外見的な審美性だけではなく、機能性や独自性なども求められるが、「遠くから見ただけではわかりにくいかもしれませんが、このマーカーはそれぞれ配置のパターンが違います。同じ配列はどこにもありません。プログラム側では、この配置パターンによってそれがどこの部位かを判断し、3Dデータを生成します。ですから、人間がデザインしたというより、プログラムや数式が作り出したデザインです」と、山田氏は語る。この数学的な模様が「ゾゾスーツ」のデザインの大きな特徴であり、また計測精度の高さをもたらしている。

ZOZOは、こうした計測テクノロジーを外部に提供する戦略に舵を切った。計測テクノロジーを活用するパートナー企業を募集し、新たなサービスの共同開発を目指すという。「実は、旧型を発表した際にも様々な業界から問い合わせがあり、計測テクノロジーに対するニーズがあることは確信していました。今回もすでに反響があり、想定していたよりも多くのお声がけをいただいています。私たちが想像もしていなかった業界からも問い合わせがあります。医療やフィットネスなど、今までのやり方に変化をもたらすような分野での取り組みを期待しています」と、「ゾゾスーツ2」の展望について述べる。

「ゾゾスーツ2」は、ZOZOがファッション以外の領域に進出するためのツールでもあるだろう。「ゾゾスーツ2」が洋服サイズの計測に限ったものではないことは明らかで、山田氏の話からもZOZOが得意とするテクノロジーをもって、ヘルスケアやスポーツといった新領域を目指そうという意思がはっきり感じられる。ZOZOがファッション業界で起こしてきた変革を、他業界でももたらすことができるか、進化したテクノロジーを手にしたZOZOの今後に注目だ。

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