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「コム デ ギャルソン」の川久保玲がウィーン国立歌劇場で『オーランドー』の衣裳を担当

Dec 16, 2019.橋本雅彦Paris, FR
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©Wiener Staatsoper / Michael Pöhn  all hair creations by hair artist Julien d’Ys

「コム デ ギャルソン(Comme des Garçons)」のデザイナー川久保玲は、2019年12月8日にウィーン国立歌劇場で世界初演されたオルガ・ノイヴィルト(Olga Neuwirth)作曲のオペラ『オーランドー(Orlando)』の衣裳を担当した。このオペラは同劇場の150周年記念公演で、この初日の他に11日、14日にも上演され、18日、20日にも上演する。演出のカロリーネ・グルーバー(Karoline Gruber)、台本のカテリーヌ・フィユー(Catherine Filloux)、原作者のヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)もすべて女性というのがきわめて珍しい。いままで日本のデザイナーでは森英恵、コシノジュンコ、高田賢三、山本耀司などがオペラのコスチュームを手掛けてきているが、川久保玲にとっては初めてのコスチュームデザインだ。

このオペラの原作の『オーランドー』はヴァージニア・ウルフが1928年に出版した小説。17世紀のエリザベス1世統治下のイギリスに生まれた青年貴族がオーランドーが女性に生まれ変わって数世紀にわたって生きるというファンタジーである。サリー・ポッター(Sally Potter)監督によって映画化もされている(1992年)。

このオペラのための準備として、川久保玲は今年6月のメンズコレクション「コム デ ギャルソン・オム プリュス(Comme des Garçons Homme Plus)」を今回のオペラの第1幕、9月発表の「コム デ ギャルソン」を第2幕として制作。そして、今回の第3幕(終幕)で三部作が完成するというスケジュールで臨んだようだ。登場するコスチュームは、川久保玲のこの30年間に及ぶ創作活動を集大成したものと言えるだろう。特にここ5年間ほどのアート色を強めた彼女のデザインがぴったりマッチしているように感じられる。この5年ほどの彼女の仕事を見ていると舞台のコスチュームをなぜ手掛けないのだろうかと不思議だった。特に演劇などよりも抽象性の高いオペラやバレエのコスチュームは彼女に向いていると思っていた。男性から女性へ性転換する今回のオペラの内容を川久保玲が気に入ったのかもしれない。今回は大成功に終わったようだが、さらにこの分野で金字塔を打ち建てて欲しいものだ。

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