BUSINESS NEWS
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail

クールジャパン機構、予算要求見送りへ 2040億円を投じた官民ファンドに問われる「投資の説明責任」

NEWAug 23, 2026.セブツー編集部Tokyo, JP
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail

経済産業省が2027年度予算の概算要求で、海外需要開拓支援機構、いわゆる「クールジャパン機構」に関する予算要求を見送る方針であることが8月20日、明らかになった。経産省はすでに有識者による検証を進めており、他機関との統合や廃止を含めて年内に今後の方向性を判断する方針だ。

同機構は2013年11月、日本の魅力ある商品やサービスを海外に展開する企業を支援する目的で設立された。政府と民間企業が共同出資し、初代社長にはイッセイ ミヤケや松屋などで経営に携わった太田伸之氏が就任した。設立から10年以上が経過した現在、クールジャパン機構はこれまで83件に投資し、投資実績は約2040億円に達している。

一方、クールジャパン機構が6月24日に発表した2026年3月期決算は、売上高が44億4291万円(前期比88.4%減)、当期純損益は156億9652万円の赤字(前期は14億6115万円の黒字)で、累積損失は540億円まで膨らんでいる。2028年度までに累積損失を解消し、2029年度から本格的な投資回収フェーズへ移行する計画は大きく後退している。

これまでの投資実績は約2040億円に達するものの、投資先の業績悪化などを背景に、十分な投資回収につながっていない案件も少なくない。特に象徴的なのが、人工構造タンパク質などのバイオ素材を手掛けるSpiberだ。クールジャパン機構は2018年に30億円、2021年に110億円を追加出資し、計140億円を投じた。しかし、米国での事業計画などが頓挫し、Spiberは2026年に私的整理を経て事業を新会社へ承継。クールジャパン機構も6月に保有株式を創業者に譲渡し、投資から撤退した。

ファッション分野でも、米国のファッションブランド「エムエムラフルー(M.M. LaFleur)」を展開するエムエムラフルアー(M.M. LaFleur Inc)に対して、同機構は2019年10月に20億円を出資し、2020年9月にも3億円を追加出資、合計23億円を投じている。ところが、クールジャパン機構は2024年、エムエムラフルアーの保有株式をすべて譲渡し、投資から撤退した。23億円を出資してから、5年足らずで完全撤退したことになる。

ここで明らかにすべきは、23億円を投じた結果、最終的にいくら回収したのか、そして23億円もの資金を投じた結果、日本に具体的に何が残ったのかということだ。2024年に全株式の譲渡が発表された後、譲渡額について問い合わせたものの、「関係者間で締結する契約に基づき、回答しかねます」との回答だった。2022年に「エムエムラフルアーへの出資時の売上高、利益、従業員数」について問い合わせた際も、「いずれも公開されていない情報のため、回答を差し控えます」との答えが返ってきただけだった。

民間のベンチャーキャピタルであれば、投資先企業の株式価値や売却額が非公開となるケースは珍しくないものの、従業員数などの基本的な企業情報すら非公開であった。2026年3月現在、クールジャパン機構の出資金1513億円のうち、政府出資は1406億円に上り、約93%を政府が占めている。政府出資への依存度が極めて高い以上、民間ファンドとは異なる透明性が求められるのではないだろうか。

投資先の選定過程、投資後の政策効果、回収額。これらが明確になって初めて、その投資が投資として成功だったのか、あるいは政策目的を一定程度達成したのかを国民が判断できる。「日本の魅力を海外に売る」という理念だけではなく、公的資金をいくら投じ、最終的に日本へどれだけの価値を還元したのか。 クールジャパン機構には今、その説明責任が問われている。

READ MORE