
ワークマンは9月8日、2026年秋冬の新製品発表会を開催し、リカバリーウェア「メディヒール(MEDIHEAL®)」のラインアップを新たに37品目追加すると発表した。昨年から急速に販売を伸ばしている「メディヒール」は、入荷するとすぐに売り切れるほどの人気が続いており、慢性的な品薄状態が続いてきた。2026年1月から7月までの販売数は1200万着に達しており、ワークマンは「欠品撲滅」を宣言していたものの、それでも需要に供給が追いつかず、今春夏も半袖Tシャツなどで欠品が発生。
そこでワークマンは、2026年8月から12月にかけて最大2200万着を販売できる生産・物流体制を整備。年間では最大3400万着規模まで供給できる体制を構築する。国内では群馬県高崎の倉庫に最大500万着、中国の江蘇省、広東省にも最大720万着を保管できる倉庫を確保し、合計で最大1220万着の備蓄能力を持つ。単純に生産量を増やすだけでなく、売れた商品をすぐに補充できる在庫体制まで整えることで、これまで繰り返してきた欠品による販売機会の損失を防ぐ狙いだ。
3400万着という規模は、かつての「ユニクロ(UNIQLO)」のフリースブームを上回る。2000年に社会現象となった「ユニクロ」のフリースは約2600万着を販売する空前のヒットとなった。ワークマンの「メディヒール」は、まだ年間3400万着を実際に販売すると確定した数字ではないものの、需要がそこまで拡大しても欠品させないことを想定した供給規模。リカバリーウェアが一時的なブームではなく、大衆的な衣料カテゴリーになることを見据えた異例の増産と言える。
リカバリーウェア市場そのものも、急速に競争が激しくなっている。同社によるとリカバリーウェアに関連する一般医療機器の届け出件数は、2023年時点では4件だったのに対し、2026年4月時点では185件にまで増加。わずか3年ほどで約46倍に増えており、まさに「リカバリーウェア戦国時代」ともいえる状況になっている。
こうした中、ワークマンはこれまで中心だったルームウェアだけでなく、ビジネススーツやワークウェアにも領域を拡大。「24時間メディヒール」を掲げ、睡眠時やリラックス時だけでなく、働いている時間やアクティブに動いている時間にも着用できる商品群へと広げる。
今回新たに投入するのが、上位モデルの「メディヒールコスモス(MEDIHEAL COSMOS)」だ。NASA向けに開発された温度調節技術「アウトラスト(Outlast®)」を採用したリカバリーウェアで、暑いときには熱を吸収し、寒いときには蓄えた熱を放出することで、衣服内の温度変化を緩和する。メンズ、レディス向けに長袖トップスとロングパンツを展開し、価格はそれぞれ2,900円。
「メディヒール」そのものは、身体から放出される遠赤外線を独自技術で繊維に練り込んだ素材が輻射し、遠赤外線による血行促進を通じて疲労回復をサポートする一般医療機器として届け出られている。ワークマンは、この機能性をベースに着用シーンを広げ、リカバリーウェアをより日常的な衣料として普及させる考えだ。
「メディヒールコスモス」のアンバサダーには、宇宙飛行士の野口聡一氏を起用した。発表会に登壇した野口氏は、宇宙飛行士時代にアウトラストを使った製品を使用していた経験に触れ、「NASAにいるときに使っていたアウトラストを採用しており、着目点が素晴らしい。安くはない素材を採用して英断だったと思う」とコメントした。
野口氏は、世界で初めてスペースシャトル、ソユーズ、クルードラゴンという3種類の異なる宇宙船に搭乗・帰還した宇宙飛行士として知られる。通算で約1年にわたって宇宙に滞在した経験を持つ。
発表会では、宇宙での生活と「リカバリー」についても語った。「普段からストレスを避ける工夫が大事。アクティブでいながら、つねにリカバリーしているのが理想」と野口氏。宇宙ステーション内は空気と温度が管理されている一方、宇宙空間では太陽光が当たる側と日陰側で極端な温度差が生じる。そのような環境から身体を守るのが宇宙服であり、野口氏は「周りの環境が急激に変わる可能性がある中で、ストレスなく、精神も身体も平穏に過ごせるように心がけていた」と話した。
睡眠についても、「宇宙では22時になると消灯、6時になったら起きる。このリズムは地球にいる時も同じ。慣れてしまえば、宇宙で寝るのは気持ちいい」と説明。無重力空間では寝返りを打つ必要がなく、寝袋を壁に固定して「蓑虫みたいに寝ている」と、宇宙での独特な睡眠環境を紹介した。
野口氏がアンバサダーを務める「メディヒールコスモス」は9月10日から販売を開始する。初年度は314万点、83億円の売り上げを目指す。ワークマンによれば、通常の新商品は初年度2万〜3万着程度から始めるケースが多く、314万点という計画は極めて大きな数字だ。
さらにワークマンは、リカバリーウェアをルームウェアだけのカテゴリーにとどめず、ビジネススーツやワークウェアへと広げる。リカバリーウェアを「寝るための服」から「一日を通して着る服」へ変えていくことで、市場そのものを拡大する戦略だ。












![[[name]]](/assets/img/common/sp.png)