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「ビビらず作った初めての商品」が大ヒット ワークマンが「メディヒール」で狙う「夜の領地」の覇権【いづも巳之助の一株コラム】

NEWNov 11, 2025.いづも巳之助Tokyo, JP
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ワークマンの2026年3月期の税引き利益は197億円(前期比+17%)へ上方修正。営業総収入は1550億円(+13.2%)
、営業利益282億円(+15.6%)。過去最高益の見通しを打ち出した背景には、1900円のリカバリーウェア「メディヒール」の爆発的ヒットがある。だが200万着の大勝負は、ワークマンが「現場服の会社」から「日常服の会社」へ変わる「関ヶ原の戦い」だ。

◾️今回の決算の中身
2025年4〜9月期は営業総収入761億円(+15.7%)、営業利益144億円(+21.1%)、純利益92億円(+22.5%)。営業利益率19.0%と製造小売として高水準を維持。フランチャイズ比率91.2%の軽資本モデルを守りつつ、直営店は+39.4%と急拡大。中でも「ワークマンカラーズ」が20店増え、累計1071店に。

そして話題の中心は「メディヒール」。血行促進や疲労回復効果をうたう一般医療機器で、価格は1900円。他社が1万円前後で展開する市場に「桁違いの価格破壊」を起こした。

◾️200万着の構造転換
2025年秋冬、「メディヒール」は24アイテム・200万着を生産。前年の10倍規模という異例の量だ。通常なら「作りすぎ」と止められる規模だが、今回はSNSの反響が後押しし在庫が追いつかない。土屋専務は言った。「ワークマンの悪いところは、ビビってたくさん作らなかったこと」。

つまり、「メディヒール」は「ビビらず作った初めての商品」だ。数字上では、今季200万着で約34億円、来季春夏は330万着で約51億円。2シーズン合計で約85億円。営業利益率20%なら全社利益に約17億円を上乗せできる。これは営業利益(約260億円)の6〜7%。1商品で利益を一割押し上げる可能性があるよ。

◾️リピーターが証明する「本物」
多くの商品が2回目で失速する中、メディヒールはリピーターを獲得。「睡眠の質が上がった」「薄いのに暖かい」とSNSで話題が続き、再販→即完売の連続。1900円という価格は「試すハードルを下げ」「習慣を変える入口」となった。もしこの流れが続けば、ワークマンは「ユニクロ」のヒートテックと同じ「冬の生活基盤」を握る。

◾️「ユニクロ」のヒートテックと違う狙いは?
9月、巳之助はコラムでこう書いた。「もしユーザーがヒートテック並みに暖かいと実感し、昼も夜も家で着続けるようになれば、ユニクロの市場を侵食するかもしれない」。

その予言が、現実に近づいたんだ。ヒートテックが「外出の快適」なら、メディヒールは「家の中の回復」。
外向きの「ユニクロ」に対し、内向きのワークマン。ワークマンの挑戦は、まさに生活時間の取り合いになっている。夜の8時間を取りにいく戦いだ。

◾️株価の見方と購買レンジ
株価は6,350円前後(11月10日終値)。営業利益率14〜19%、ROE14%台。PER22倍は「割高でも割安でもない水準」だが、リカバリー市場が定番化すれば再評価余地は大きい。巳之助の購買レンジは6,000〜6,500円。押し目を待ちすぎず、6,000円台前半で拾うのがコツだな。200万着の「売り切れニュース」が再燃すれば、7,200円台もある。

ワークマンは「現場着の会社」としてここまできた。だが、これからは「働いた人の夜を癒す会社」になるかも。しかし、一夜の夢に終わればリスクも大きい。もしリピーターがつけば、「ユニクロ」の牙城がほんの少しだけ揺れる。いや、もしかしてだけど―。

プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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