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「目的が見えるようで見えない」ワールドとTSIの経営統合は、日本アパレルの未来を占う試金石か【いづも巳之助の一株コラム】

NEWOct 15, 2026.いづも巳之助Tokyo, JP
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撮影:SEVENTIE TWO

HUMAN MADEやyutoriなど、強烈なブランドを擁した国内アパレルが、黒船のようにやってきている。次に起こるのは、既存アパレルの離合集散。ここまでを巳之助は読んでいた。

だが、ワールドとTSIホールディングスが組むとは思わなかった。ブランドも企業文化も異なり、両社のスタッフには日本のアパレルを引っ張るプライドがあるからだ。踏み絵を踏んだのか、踏まされたのか。2社をよく知る巳之助が、今回の統合を考えてみる。

◾️服を売るのが難しくなっている2社が、なぜ一緒になる?
2027年3月、両社は共同持株会社のインフィニティ・ユナイテッドを設立予定。前期売上高の単純合算は約4511億円。国内アパレル業界第3位になるという。しかし、気になるのは規模ではない。両社の改革は道半ば。大きな会社がブランドを育てるとは限らない。

◾️ワールドは、服を売るより服を売る仕組みで稼ぐ
ワールドは「プランW」の総括で、ブランド事業を「×」、プラットフォーム事業を「〇」と評価した。既存アパレルは苦戦。他社の商品企画や製造、物流を支える事業は育っている。直近上期のB2B事業は売上高約365億円、事業利益約31億円。売上減でも利益は12.3%増。服を売る会社から、服を売る会社を支える会社へ。統合は、この仕組みにTSIホールディングスのブランドを載せる狙いではないか。

◾️TSIホールディングスは15年前にも統合した。それでも改革は終わらなかった
TSIホールディングスは2011年、東京スタイルとサンエー・インターナショナルの統合で誕生。あの時も、よく統合できたなあと感心した。「パーリーゲイツ(PEARLY GATES)」、「アヴィレックス(AVIREX)」、「ナノ・ユニバース(NANO universe)」といった個性の強いブランドを持つ。2021年、高収益ブランドに集中投資し、営業利益率10%を目指した。2025年2月期は約1%。翌期は約2.6%まで改善したが、まだ低い。ブランド整理、子会社統合、EC一本化で、改革は続く。再び統合するが、今度はワールドの仕組みで、個性を守りながら利益を残せるのか。

◾️何を一緒にして、何を一緒にしない?
ワールドの物流、仕入れ、システムをTSIホールディングスにも使えば、経費削減が期待できる。でも、心配もある。ブランドには固有の顧客がいる。作る人にも売る人にも、譲れない世界観がある。効率化で商品まで似てしまえば、選ぶ理由がなくなる。経営は一つにする。でも、ブランドの個性まで一つにしてはいけない。何を共通化し、何を残すか。10月15日、TSIホールディングス経営陣は統合を理由とするブランドの一律削減や人員削減は行わないと説明した。個性を残して、利益を増やす。言うのは簡単だが、経営者の腕が試される。

◾️売上4511億円より、利益率1%の改善が大きい
営業利益率1ポイントの改善で、単純計算で年間約45億円の利益増。統合費用もかかり、ブランド改革も道半ばだ。ブランドを増やせば儲かる時代ではない。巳之助は、ブランドを生かす仕組みを完成させる統合だと考えたい。答えはまだ数字になっていない。

◾️巳之助の適正株価レンジ
統合発表後、10月15日の株価はワールドは1,585円、TSIホールディングスは1,272円。株式移転比率は1対0.8。ワールド株価から換算したTSIホールディングスの価格は約1,268円。TSIホールディングスはこれを約4円上回った。市場は統合を好感したようだ。ただし、期待先行の可能性もある。今後の利益改善を見て判断したいが、巳之助の適正株価レンジは、まだ決められない。

プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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