売上高2083億円(Q1+13%)、営業利益率21.4%で絶好調!但し、株価3,893円に対する予想配当28円、配当利回りは0.72%にすぎないから、高配当株とは程遠い。なぜか?理由は3つある。
①成長投資を優先。神戸の研究所やボストンの拠点を中心にR&Dや海外出店に資金を投じている。
②株価は3,893円、配当利回りは0.72%と低水準。配当性向も22.7%と、日本企業平均の30〜40%を下回っており、成長投資と優待重視の還元方針を鮮明にしている。
③「配当より優待」。株主還元の柱を現金よりも割引券に置き、株主=消費者をファン化する設計にしている。
株主優待の割引率は、100株以上で25%、1年以上で30%、3年以上かつ1,200株以上なら40%。年間10回・1回5万円まで利用可能。シューズを実際に買う株主にとっては、配当+優待の実質利回りは数%規模になるね。
▷IR説明会がユニーク
かつては広報担当者が全国を回り、年間何十回も個人株主説明会を開催していた。その場では「株主優待でシューズが安く買えます!」と力強くアピールしていたのを巳之助も聞いたことがある。ところが近年はさらに進化し、優待戦略と連動した「体験型IR説明会」を展開している。全国各地で開催され、役員による事業説明の横では、ランニングコーチのストレッチ指導や足型計測、3D Shoes Viewer、試し履き、さらにはオニツカタイガー製品の展示まで並ぶ。他社が配当や総会を中心に据えるのに対し、アシックスは「株もシューズも買ってほしい」と株と商品をセットで訴求するユニークなアプローチだ。
▷投資判断は?
PER30倍台で過熱感はあるが、高利益率が維持できればEPSは2028年に150円台も視野。株価5,000円突破は現実味を帯びる。参考までに、ナイキのPERは約25倍、アディダスは約22倍。比較すれば、アシックスの30倍超はやや割高に映る。さて、「もう一段高」を引き寄せる要素は3つ。
①欧州旗艦店(パリ、バルセロナ)の成功でオニツカ事業が伸びること。欧州はすでにアシックスの最大市場(売上比率約40%)に育っている。旗艦店が軌道に乗れば、一段の利益押し上げ要因に。
②個人株主比率を現在の8.9%(株主数51,104人)から20%へ高め、安定株主基盤を築くこと。
③神戸・ボストン拠点の新素材シューズがヒットし、在庫リスクを抑えつつ収益を押し上げること。
この3点がそろえば、株価は再評価され、海外投資家の買い増しも呼び込むだろう。
目安の水準を示すなら、PER25倍に調整した場合の株価はおよそ3,200〜3,300円。調整局面でその水準に近づくようなら、長期目線で拾う妙味が増す。逆に業績上振れと欧州展開の成功が重なれば、5,000円突破のシナリオも十分あり得るな。
まとめれば、アシックスの狙いは明快だ。成長投資を優先しながら、優待で商品を安く届けて株主をファン化する。株主が「消費者」としてブランドを体験すれば、すぐに株を手放す理由は薄れる。
巳之助は「低い配当」と「厚い優待」で少し迷うけど。NISA Bros.よ、どう考える?
▶巳之助メーター 2ニョロ 監視
(1ニョロ=素通り 2ニョロ=監視 3ニョロ=今だ!)
買うなら株価調整時。シューズ買う人は、考えようによっては相当お得だな。
■プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。