
ディスカウント王者「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルHDの2026年6月期第1四半期決算は、売上高5732億円(+4.1%)、営業利益413億円(+0.7%)。国内の強さと海外の課題が鮮明に分かれた内容だった。
■国内は「二刀流」の完成形へ
国内事業は売上高4870億円(+4.9%)、営業利益405億円(+1.3%)。食品は年間で6000億円超の売上となり、いまや「食品スーパー」と言っても違和感がない。
免税売上は1742億円(+48.6%)と過去最高を更新。「カオスな売場」が訪日客にとって「観光地そのもの」となり、観光リテールと食品スーパーの二刀流モデルが定着した。あの「カオス感」がまさかドンキのブランディングになるとは、巳之助もビックリだよ。
■海外は「北米の試練」と「アジアの希望」
北米事業は売上高641億円(−0.3%)、営業利益8,100万円(−91.9%)。現地で発生した山火事による店舗焼失と新規出店コスト増が響き、減益。
一方でアジア事業は売上高220億円(+1.2%)、営業利益6億8,500万円(前年の赤字から黒字化)。不採算店の閉鎖とセルフレジ導入による人件費削減が奏功した。「北米の火」と「アジアの光」、その対比が、グローバル展開の難しさと面白さを物語る。
■ピアゴ再編、静かに前進中
前回のコラムでも触れた「ピアゴ再編」。もともとは伊藤忠グループの中型スーパーで、2018年にPPIHがユニーを完全子会社化して傘下入り。いま、そのピアゴがドンキ流のMDと低価格戦略で「食品特化型ドンキ」へ生まれ変わりつつある。
すでに20店舗前後が改装を終え、売上は平均で1.3倍。営業利益率も4%台に改善しており、現場では確実に変化が進んでいる。全90店舗への転換が完了すれば、+2000億円の上積みも見えてくるぞ。国内の次なる成長のカギは、この静かな再編の先にある。
■株はいつ買うべきか?
短期派は、いま(11月中旬)が押し目の最終局面。中期派は、ピアゴ再編が第2四半期で数字に出始める頃。長期派は、北米黒字化とアジアの二極成長が定着した時。現時点の株価は987円(11月12日終値)。巳之助の購買レンジは930〜990円だな。950円台を中心に拾っておきたい。
一段高は1,050円近辺、ここを抜けたら再び需給プレミアが走る。配当利回りは約1.6%だが、次の増配が見えれば「高値更新コース」もあり得る(今回は増配発表はなかったね)。PPIHは配当性向を高めており、今後も増配基調が続くと見ているよ。
PPIHの国内は盤石、海外は課題と光明。巳之助は「国内再編」と「海外黒字化」で少し迷うけど。どちらも、ブランドを一段上のステージへ引き上げる通過点だ。
プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。












![[[name]]](/assets/img/common/sp.png)