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『プラダを着た悪魔2』を観て感じた、日本人女性のメイク観【皮膚科医・横井彩先生の彩肌通信第12回】

NEWJun 18, 2026.横井彩Tokyo, JP
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少し前に『プラダを着た悪魔2』を観てきました。もちろん事前に前作(2006年)もおさらいして、気持ちを高めての鑑賞。

前作から20年経っているとは思えないほど、主要キャストがキャラクターを自然に演じていました。そして世界観を保ちつつも今の感覚にアップデートされていることにも驚きました。前作のまま現代に持ってくると、“パワハラ”的な部分が気になってしまいますが、「もはやそういう時代ではない」感もきちんと演出されていました。

この作品に関しては、「2作目だけ観ても楽しめる」というより、やはり1作目があってこその物語、という印象です。といっても有名な作品ですから、観る人の多くは前作も知っているはず。登場人物たちのキャラはそのままに、前作を引用するようなエピソードも散りばめられています。登場人物のセリフで会場全体がふっと笑う場面も何度かあり、ファンへの愛情が感じられる素敵な作品でした。

バッチリお洒落をして観に行くという人もいたようですし、この映画を観た後に、ファッション欲が高まった人が多いのではないでしょうか。私も、映画のプレミアの際の番組まで見て、海外セレブの華やかなファッションを楽しんでしまいました。

その中で、ふと考えさせられたのは、華やかな場での服装やメイクについて。日本では、華やかなドレスを着てパーティーに参加する機会はそれほど多くありません。私自身も、そうした機会はほぼありません。もし突然そのような場に招かれたと仮定したら、おそらく洋服から準備が必要ですし、正直なところ、格好よく着こなせる自信はありません。

もちろん、欧米人とは体型や骨格も異なるので、似合うドレスの形が違うのは当然です。しかし仮に体型に似合うドレスが見つかったとしても、華やかにドレスアップした自分は想像できません。

そこでふと思ったのは、私を含む多くの日本人女性にとってドレスアップが難しいのは、骨格や体型の問題だけでなく“メイクのドレスアップが苦手”問題もあるかもしれないということ。普通メイクに少しくらいラメを足したところで、ドレスに似合うメイクにはなりません。服装をドレスアップしたら、メイクもドレスアップする。単純に見えて、この意識が身についている日本人女性は少ないと思います。私自身もその一人です。

理由の一つとして、欧米のようなパーティー文化が無い日本では、“華やかな場にふさわしい装い”を学ぶ機会が少ないこと。成人式や結婚式はプロにしてもらうことも多く、きちんとしたヘアメイクを自分自身で考えるなんてしたこともない人も多いのではないでしょうか。

もちろんメイクは個人の嗜好で、正解はありません。ただ首から下を華やかにしている以上、首から上にも華やかさがないとバランスは取れません。服装・アクセサリー・ヘア・メイクは雰囲気を揃えた方が映えますよね。

もう一つ、特に私くらいの世代(アラフィフ)に多いのではと思ったのが、“メイクの濃い人になることへの恐れ”です。私の子供時代や10代の頃は、しっかりメイクをした大人の女性を「化粧の濃いおばさん」と揶揄するような空気が少なからずありました。

その影響か、「メイクが濃くなることは絶対に避けるべき」という理由なき感覚が頭の片隅に残っている気がします。濃くならないようにという意識が頭にチラついた結果、外出先の化粧室の鏡に映った自分のぼんやりした顔に驚いたことは何度もあります。これは服装も含めた全体のバランスを考えられていないことで起きた失敗です。

大人世代になると、顔に疲れが出やすくなります。しかし大人だからこそ華やかな場に出ることもあり、パーティーやビジネスの交流会などの場では、「目立たないこと」は美徳ではありません。

華やかでフォーマルな服装には、華やかでフォーマル感のあるメイクを。それは「メイクが濃い」ではなく、場に合わせる、装いとの調和を考える、ということのはず。私自身も含めて、日本の大人の女性たちはもう少し気軽に前向きに、「場に合わせた華やかさ」を楽しんでもいいのかもしれません。

化粧の濃いおばさんの呪縛から解かれてみよう。そんなことを、『プラダを着た悪魔』を観ながら考えていました。

*「SEVENTIE TWO / セブツー」では、横井彩先生へのお肌の悩みや相談を受け付けています。お問い合わせはこちらまでお気軽にご連絡ください。
email:info@minimal.jp

■横井彩 プロフィール
「日本橋いろどり皮ふ科クリニック」院長。皮膚科専門医、医学博士。2003年に秋田大学医学部を卒業した後、同大学皮膚科で研鑽。2017年藤田医科大学アレルギー科にて講師。2021年に「日本橋いろどり皮ふ科クリニック」を開院。日本美容皮膚科学会や日本香粧品学会などに所属。

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