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皮膚科医・横井彩先生の「彩肌通信」 第1回「あなたの日焼け対策、何点ですか?」

Jul 22, 2024.横井彩Tokyo, JP
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東京・日本橋にある「日本橋いろどり皮ふ科クリニック」の院長、横井彩です。本来の健康的な素肌を取り戻すには、適切な治療と正しいスキンケアが一番の近道という思いから、皮膚科の専門医としてみなさんの日常に彩りを足すお手伝いをしています。

今回から始まった「彩肌通信」では、皮膚科の専門医として、どうしたら無理なく美容を楽しむことができるかをお伝えしていきたいと思います。私自身、美容に対してストイックに努力をする性格ではないため、実はスキンケアに時間をかけることはなくパックやスチーマーのようなケアもしたことがありません。でも、お肌のための大切なポイントは押さえているつもりです。がんばらなくても毎日、楽に続けられる美容のヒントについて、これから連載形式でお話ししていきます。

■「飲む日焼け止め」、私は飲みません
さて、記念すべき第1回は、本格的な夏目前なので「日焼け」についてです。日焼け対策はみなさん、どうされていますか?何年か前から「飲む日焼け止め」と言われるサプリが流行っています。いわゆる抗酸化作用のあるサプリメントで、日焼け止めを塗るのが面倒だから、あるいは飲んで日焼け止めになるなら楽だからと思って購入する方もいるのではないでしょうか。だとしたら要注意です。

まず断言できるのは、「飲む日焼け止め」は、「塗る日焼け止め」の代わりになるものではありません。一般的な「塗る日焼け止め」のSPF(紫外線防御の指標のひとつ)は30〜50程度ですが、「飲む日焼け止め」の効果はSPFでいうと1もしくは2とかなり低いと言われています。意味がないとは言いませんが、塗る日焼け止めの代わりとは到底言えません。日々完全に遮光して95点くらいの日焼け対策ができていて、さらにあと1点や2点をプラスして100点を目指すような意識の高い人はともかく、多くの人にとってはそこにお金かける前にすべきことがたくさんあるはず。「塗る日焼け止め」や日傘や帽子でしっかり物理的に遮光をした方がはるかに日焼けは防げます。

そもそもなぜ日焼け対策をした方がいいのか、それはやはり老化の防止に繋がるからです。肌の老化には大きく分けて、加齢によるものと、紫外線による老化=光老化、の2つがありますが、肌の老化においては紫外線による光老化の影響の方が大きいと言われています。つまりこの光老化を防ぐ紫外線対策こそが直接のアンチエイジングに繋がるのです。またシミやシワだけでなく、日焼けによって真っ赤に焼けた肌の状態は火傷と同じで、皮膚にとっては明らかに害です。皮膚の細胞を傷害して皮膚がんのリスクにも繋がる日焼けは、美容を気にする方だけではなく、全ての人が皮膚の健康のためにもしっかり対策するべきです。

■日焼け止めは朝一度塗れば十分と思っていませんか?
では、どんな日焼け対策がいいか、まずは一にも二にも直射日光を避けることです。移動の時はビルの影になっている側の道路を歩いたり、UVカットのアームカバーやパーカーを着用したり、さらに日傘を差すなどしてとにかく物理的に陽に当たらないことです。面倒に感じるかもしれませんが、この暑い日本では熱中症予防にもなるし、やってみると疲れにくいなど意外に快適であると気づく方もいると思います。

それから、日焼け止めは朝一度塗れば1日中効果があるように感じるかもしれませんが、残念ながらそうではありません。ティッシュやハンカチで額の汗をぬぐったらそれだけでも取れてしまいますし、カバンの持ち手で擦れただけでも効果は薄れてしまいます。ですから理想を言えば、外出する前やオフィスに出勤する前にまず日焼け止めを塗って、ランチに出かける前にはもう一度塗るか、SPF効果のあるファンデーションやパウダーを重ねる必要があります。退社するころはもう陽も落ちているので日焼け止めをさらに塗らなくても大丈夫です。朝と昼の外出前が大事ですね。

私自身はもともと、暑さが苦手で滅多にリゾートには行かないのですが、数年前にハワイで挙式をしました。記念写真は屋外で撮影したのですが、さすがに日傘を持つわけにはいかないので、「ちょっと失礼します」と2時間おきに日焼け止めを塗り直していました。何度も重ね塗りした日焼け止めを落とすのは本当に大変でしたが、確かに全くと言ってもいいほど日焼けしませんでした。ハワイの炎天下で肩を出したドレスを着て、です。日焼け止めの容器に書いてある「2−3時間おきに塗り直しましょう」は事実だと強く実感しましたし、日本の日焼け止めの実力にひれ伏す思いでした。

しかし普段の日焼け対策と海にいる時とでは、話は全く異なります。旅行など非日常で心にゆとりがある時ならともかく、日々の生活でここまで何度も日焼け止めを塗ることは現実的ではないですよね。私も毎日の生活では塗り直しもしないしそもそも顔以外には日焼け止めを塗りません。忙しいとつい面倒になって結局、日焼け対策が続かない方も多いのではないでしょうか。そこで提案したいのは、塗り残しなく日焼け止めを塗ることより、簡単に着用できるUVカットのパーカーやアームカバーそして日傘です。これらの物理的な遮光グッズの利用で済ませる方が、楽で長続きすると思います。

振り返ってみて、あなたの日焼け対策は何点ですか?いよいよ夏本番を迎えますが、とにかく無理せずに続けることが大切です。そして、なによりもキレイになることを楽しむ気持ちが大切です。これからも「無理せずキレイを楽しむ」ヒントを発信していきたいと思います。

*「セブツー」では、横井彩先生へのお肌の悩みや相談を受け付けています。お問い合わせはこちらまでお気軽にご連絡ください。
email:info@minimal.jp

■横井彩 プロフィール
「日本橋いろどり皮ふ科クリニック」院長。皮膚科専門医、医学博士。2003年に秋田大学医学部を卒業した後、同大学皮膚科で研鑽。2017年藤田医科大学アレルギー科にて講師。2021年に「日本橋いろどり皮ふ科クリニック」を開院。日本美容皮膚科学会や日本香粧品学会などに所属。

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