スキンケアの価格帯は、数百円から数万円まで幅広く、どれを選べばよいか迷う人も多いのではないでしょうか。ファッションと同じで突き詰めればキリがありませんが、3000円でも肌に必要な成分がしっかり含まれたアイテムは手に入ります。美容にあまり関心がない方や毎月の出費を抑えたい方、あるいはプレゼントにも使いたい方も多いと思いますが、こんな方にも「予算3000円」はちょうど良いスキンケア入門ラインです。
◆ 高級化粧品の価格は贅沢な容器代や広告費のせい?
「高級化粧品の中身はほとんど水で原価は安い!高いのは贅沢な容器代や広告費の分」という話、よく聞きますね。メディアで見かける「ブランド化粧品と成分ほぼ同じで値段は10分の1!」という特集は、そういう心理をついています。しかし実際は、同じ成分を入れても残念ながら同じ効果にはなりません。
美容成分は入れれば必ず効くわけではなく、その成分に合った濃度の研究や安定化させる技術があってこそ。成分の原価だけでなく開発に関する研究費がかかっているので、容器代や広告費を抑えただけで価格が下がるものではありません。ブランド化粧品と同じ成分が書いてあっても同じ作用を期待するのは難しいと考えましょう。
◆ 注目すべき美容成分4選|美容皮膚科医がすすめるコスパ成分
スキンケア入門ラインでは、いろんなお悩みをまとめて解決しようと欲張らないことがコツ。自分がまず優先したいお悩みや目的にフォーカスして選びましょう。高額ではなくても美容効果がある成分はたくさんあるので、「予算3000円」ケアでは、そういった成分に着目するのがポイントですね。美容効果があるにも関わらず比較的安価で、ドラッグストアなどで手に入る成分を4つ紹介します。
1. トラネキサム酸(美白・抗炎症)
メラニン生成を抑制し、シミ・そばかすを予防してくれます。美白効果もあって敏感肌でも使いやすくお得感のある成分です。
2. アゼライン酸(毛穴・ニキビ対策)
海外では医薬品成分としても使用される注目の成分です。毛穴の詰まりや肌荒れの対策にもおすすめです。
3. ナイアシンアミド(ハリ・シワ予防)
ビタミンB3の一種で、エイジングケアに効果的です。肌のバリア機能もサポートしてくれます。
4. セラミド(保湿・バリア機能)
肌のうるおいを保ち、乾燥・敏感肌対策に最適です。
ワンポイントアドバイス:たくさんの成分が入って色々なお悩みに効きそうなものよりも、むしろ主要な成分やターゲットとするお悩みが分かりやすいものを選ぶのがコツです。
◆ 続けることが何より大事|美容液だけでもOK
スキンケアにかけるお金は人それぞれ。月に数万円かける人もいれば、5000円以内に収めたい人もいます。美容皮膚科医としておすすめするのは「毎日続けられる価格で良成分を選ぶこと」です。美容液に3000円ほどかけて、化粧水や乳液はシンプルに保湿に徹するのもいいのではないでしょうか。肌のターンオーバーは約1カ月。焦らずコツコツ続けることも大切です。劇的変化ではなくても、「化粧ノリが良くなった」などの小さな変化に気づけるようになります。この“ちょっとキレイ”体験の繰り返しで、自分に合うスキンケアを見極める目を育てていきましょう。
◆ スキンケアで肌トラブルを感じたら、自己判断せず皮膚科へ
いくら良い成分でも、肌質に合わなければ意味がありません。赤みやかゆみ、ニキビの悪化など異変を感じたらすぐに皮膚科を受診してください。
◆ まとめ|無理せず、でも効果的にキレイを楽しもう
「3000円でできるスキンケア」は、美容を始めたい人や肌を健康に保ちたい人の強い味方です。大切なのは、高価なアイテムを使うことよりも、自分に合った成分を知り、継続すること。
今回の「彩肌通信」はいかがでしたでしょうか。今後も『彩肌通信』では、皮膚科医ならではの視点で、無理なくキレイを楽しむヒントをお届けしていきます。
*「セブツー」では、横井彩先生へのお肌の悩みや相談を受け付けています。お問い合わせはこちらまでお気軽にご連絡ください。
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■横井彩 プロフィール
「日本橋いろどり皮ふ科クリニック」院長。皮膚科専門医、医学博士。2003年に秋田大学医学部を卒業した後、同大学皮膚科で研鑽。2017年藤田医科大学アレルギー科にて講師。2021年に「日本橋いろどり皮ふ科クリニック」を開院。日本美容皮膚科学会や日本香粧品学会などに所属。