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「インスタ映え」を素肌で叶える「リアル映え」スキンケアって?【皮膚科医・横井彩先生の彩肌通信第10回】

NEWOct 2, 2025.横井彩Tokyo, JP
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東京・日本橋にある「日本橋いろどり皮ふ科クリニック」の院長、横井彩です。「皮膚科医・横井彩先生の彩肌通信」を通じて、皮膚科の専門医としてみなさんの日常に彩りを足す情報を発信していきたいと思います。

さて、「無理せずキレイを楽しむ」をテーマに連載している「彩肌通信」。今回は、現代の美意識に大きな影響を与えている「インスタ映え」という視点から、スキンケアについて考えてみたいと思います。

スマートフォンで日常を切り取ることが当たり前になった今、私たちが「映える肌」と聞いてすぐに思い浮かべるのは、毛穴の見えないフラットな質感、シミやシワのない明るいトーン、そしてツヤ感と立体感ではないでしょうか。メイクの世界では、そうした「映え」を演出するために、ハリやふっくら感を出すためのハイライトや影を強調するシェーディング、毛穴や色ムラをぼかす下地やコンシーラーといったアイテムやテクニックが駆使されます。

では、そうした考え方をメイクだけにとどめず、日々のスキンケアに応用するとどうなるでしょうか。もし素肌そのものを“映える”状態に近づけることができたら、写真を撮るときだけでなく、日常の自分自身にもっと自信が持てるはずです。

まず「頬のツヤ」。これは映える肌に欠かせない要素です。乾燥を防ぐための十分な保湿や、年齢サインが出やすい部分にはシワ対策クリームを取り入れることで、自然なうるおいと弾力を保つことができます。顔全体の保湿の後に、この部分だけクリームを足したり重ね付けしたりするのも有用です。

次に全世代で多いお悩みである「毛穴」。SNSで目にする「ビジュの良い」写真の多くは加工されたものです。どんな美容治療でも毛穴を完全に無くすことはできません。あの毛穴が一切無いかのような肌を、実現するのは難しいのですが、少しでも近づきたいとは思いますよね。ナイアシンアミドやアゼライン酸といった成分を取り入れたケアは、毛穴の詰まりや開きなどによる目立ちを穏やかに整えてくれます。

毛穴は近くで見た時に気になるお悩みですが、「肌の赤み」は、離れたところからでも色むらというノイズとして感じられ、意外に目立つお悩みです。赤みと言っても要因は様々。皮膚の酸化による赤み対策には、ビタミン系など抗酸化作用のある成分が人気ですが、乾燥による赤みの人が高濃度ビタミンを使うと刺激になることも。この場合はしっかり保湿を行う、またはトラネキサム酸やバクチオールなど鎮静作用のある成分を。敏感肌でやや炎症を伴った赤みの場合は、とにかく保湿と保護に特化したお守りコスメを。

また頬の高い位置、メイクでハイライトを入れる位置、この部分の肌のキメを整えることは「映え肌」に直結します。この部分のケアで重要なのが摩擦を避けること。つい指やスポンジやブラシによる圧力がかかってしまう部位ですが、それらは全て肌への摩擦であり、キメの乱れにつながります。極力「圧」がかからないよう優しく丁寧なケアを心がけることが、ハイライトを乗せたようなツヤ肌を育てるための第一歩です。

このように、メイクでつくり込む要素を日常のスキンケアに置き換えて考えると、肌作りの新しいヒントが見えてきます。普段から「映える肌」を意識したケアを続けていれば、とっさに撮られる一枚や、思いがけず投稿したくなる瞬間にも、自信を持って応えられるでしょう。

もちろん美容はSNSのためのものではなく、自分が生活を楽しむためのもの。けれども「インスタ映え」というフィルターを通して日々の肌を見直してみると、普段のケアの延長線上にある小さな工夫や習慣が、思いがけない輝きを生み出してくれるかもしれません。

今回の「彩肌通信」では、「映える肌」をテーマにスキンケアを考えてみました。これからも皮膚科医ならではの視点で、無理をせずキレイを楽しむためのヒントをお伝えしていきます。どうぞ次回もお楽しみに。

*「セブツー」では、横井彩先生へのお肌の悩みや相談を受け付けています。お問い合わせはこちらまでお気軽にご連絡ください。
email:info@minimal.jp

■横井彩 プロフィール
「日本橋いろどり皮ふ科クリニック」院長。皮膚科専門医、医学博士。2003年に秋田大学医学部を卒業した後、同大学皮膚科で研鑽。2017年藤田医科大学アレルギー科にて講師。2021年に「日本橋いろどり皮ふ科クリニック」を開院。日本美容皮膚科学会や日本香粧品学会などに所属。

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