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GAP社復活の鍵握る「アスレタ」。日本上陸には問題あり!?

Apr 23, 2021.三浦彰Tokyo, JP
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いわゆる4大SPAと呼ばれる企業がある。売り上げ順に、スペインのインディテックス(2021年1月期年商=204億200万ユーロ=2兆6318億円、1ユーロ=129円換算)、スウェーデンのH&M(2020年11月期年商=1870億3100万スウェーデンクローナ=2兆2443億円、1スウェーデンクローナ=12円換算)、日本のファーストリテイリング(2020年8月期年商=2兆88億円)、米国のGAP社(2021年1月期年商=138億ドル=1兆4904億円、1ドル=108円換算)ということになるが、この4強の勢いは、インディテックス=B評価、H&M=C評価、ファーストリテイリング=A評価、GAP=D評価ということになる。特に最下位のGAP社は、ファーストリテイリングに年商で抜かれて最下位に沈んでいる。2021年1月30日付の決算では、営業損益が8億6200万ドル(=930億9600万円)の赤字、税引前損益が11億200万ドル(=1190億1600万円)の赤字、当期純損益が6億6500万円(=718億2000万円)の赤字を計上している。コロナ禍の真っ只中ということもあるが、その前の2020年2月1日付の決算も参照してみると(カッコ内は2019年)、

・売上高163億8300万ドル(165億8000万ドル)
・営業利益5億7400万ドル(13億6200万ドル)
。税引前利益5億2800万ドル(13億2200万ドル)
・当期純利益3億5100万ドル(10億300万ドル)

退潮基調が明らかである。SPAナンバーワンを目指すファーストリテイリングの買収対象になっているという噂が立ったほどである。しかし、SPA発祥企業としての意地もあり、復活策が着々と進められている。その決め手となるのがアスレジャーブランドの「アスレタ(ATHLETA)」である。このブランドは1998年にカリフォルニアで設立されたウィメンズ向けのヨガを始めとしたエクササイズウェアやカジュアルウェアなどの製造・販売企業だったが、2008年にGAPグループにわずか1億5000万ドルで買収された。現在はGAPの年商の10分の1の年商に満たないまだ10億ドルブランドに過ぎないが、GAPグループ唯一の成長株と言っていい。

同社のブランドでは、社名にもなっている「ギャップ(GAP)」、1983年に買収されてカジュアル・ラグジュアリーのゾーンを開拓して大成功した「バナナ・リパブリック(Banana Republic)」は厳しい状況に立たされている。従来のブランドでなんとか評価できるのは、同社の最低価格ブランドの「オールド・ネイビー(Old Navy)」だけというのが現在の状況だ。この「オールド・ネイビー」には分社化・上場の計画があったが業績悪化で2020年1月に取り止めている。

今後に光が見えるとすれば「アスレタ」の拡大だろう。このゾーンでの絶対的な存在である「ルルレモン(lululemon)」(企業名:ルルレモン・アスレティカ、2021年1月期年商44億106万ドル=4753億800万円)を追撃するのがGAPの復活の鍵であろう。「アスレタ」がウィメンズ対応であるためGAPではメンズ対応する新ブランド「ヒル シティ(HILL CITY)」を2018年9月に立ち上げている。GAP社にとっては実に12年ぶりの新ブランドだった。「オフィスでも着られるメンズアクティブウェア」がキャッチフレーズだが、この「アスレタ」と「ヒル シティ」がGAPの成長戦略の柱なのである。

「アスレタ」の最近の話題としては、カナダ市場への今秋の進出だ。これは現在米国で200店舗、年商10億ドル(2021年1月期売上高で前年比16%増、その売り上げの60%はオンライン売上高)の「アスレタ」にとって初の海外進出である。本社をカナダ・バンクーバーにおく最大の競合ルルレモン・アスレティカにとってカナダ市場はお膝元であり、カナダ進出はケンカを売っているようなものだが果たしてどういう成果が上がるのか。オンライン、自社店舗、フランチャイズによる3チャネル展開になるが2023年度(2024年1月期)までに現在の10億ドルの年商を20億ドルにする目標を掲げている「アスレタ」にとっては試金石になりそうだ。

当然「ルルレモン」が絶好調の日本市場への早晩の進出も検討されているはずだ。ただし日本ではブラジルの有名アスレチックブランドの「アスレタ」との商標登録に関する問題がありそうだ。日本では(株)アスレタが取り扱い企業である。ATHの上部分に星がひとつずつ配置されているのは、サッカーブラジル代表のオフィシャルユニホームサプライヤー時代に、1958年、1962年、1970年とワールドカップで3度優勝を果たしたことを表している。日本上陸を期待したいものだが、障壁は高そうであるがどうなるだろう。

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