今年の株式市場は、日経平均株価は1月4日に2万7,575円でスタートして、12月10日現在2万8,000円台前半をウロウロしているという具合だから、1年を通してはほとんど変わらずだったと言っていい。ただし、1月半ばから2月半ばにかけては2万7,000円台から3万円台に突き抜ける動きがあった。また8月半ばから9月半ばにかけても2万7,000円台から3万円台に突き抜ける動きがあったが、それ以上はなかなか上値を追うことができなかった。株式相場に関してはこのあたりを知っておいてもいいだろう。
「いつ株バブル、不動産バブルが弾けるのか?」が焦点になっているが、弾けそうでなかなか弾けない。とにかく低金利で行き場のない資金が株式市場に流れ込んでいる。ニューヨークダウ平均株価についても同様なことが言えるが、こちらは1980年代のバブルがなかったために、史上最高値の3万6565.73ドル(11月8日)をマークしている。
さて日本の株式市場においてファッション&アパレル関連では、2020年のBASE(個人・小規模事業者向けECプラットフォーム「BASE」運営)のように株が10倍になったテンバガー企業は現れなかったが、1年間で株価2倍以上の企業は、アウトドア関連のスノーピークをあげることができる。1月4日の初値1,860円で現在の株価3,865円(12月9日終値)だ。ついでスポーツ分野のデサント(同1,798円→同4,425円)が挙げられる。いずれもコロナ禍を追い風にして業績を急激に伸ばし1年で株価が2倍以上になった企業である。またこれは上場企業ではないが、スニーカー小売企業のアトモスが米国の大手スポーツ用品小売店のフットロッカーに約400億円で買収されたビッグニュースもあった。スニーカー旋風はまだまだ衰えていないということだろう。
こんな最中にアウトドアやスポーツなどとは異なり業績が振るわないアパレル企業の株を大量買いする企業が現れた。ラピーヌ株を買い集めて筆頭株主になって、ついには乗っ取ってしまった佐々木ベジ氏率いるフリージア・マクロスという企業だ。このフリージア・マクロスは、そもそも佐々木ベジ氏がM&Aした産業機械及び土木試験機製造会社。このM&A後にこの東証二部上場企業の業績を一変させた経営術で、その連結子会社12社、非連結会社4社などを擁する一大グループになっている。ファッション関連では、セレクトショップの「ダブルアール(WR)」を運営するホワイトルームの民事再生スポンサーや、装いの道株式会社の事業再生スポンサーになり2018年には装道礼法きもの学院の学院長に佐々木ベジ氏が就任。またツカモトコーポレーションの株4.73%保有する(2019年)などしていたが、ついに東証二部のアパレルメーカーであるラピーヌを手中に収めている。その後フリージア・マクロスは東証二部上場のフォーマルウェアメーカーの東京ソワールに食指を伸ばし6月には筆頭株主になり13.43%まで買い進んだが、東京ソワール側が買収防衛策を講じて一頓挫している状況だ。よほど経営手法には自信があるようで、ラピーヌの2022年2月期の決算に注目したいところ。これで結果が出ているとなると今後アパレル業界にフリージア・マクロス旋風が吹き荒れることもありそうだ。