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Japan|そして、デザイナーがいなくなったエイ・ネット

Aug 29, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
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エイ・ネットでは、7月31日をもって宇津木えりがデザインする「メルシーボークー、(mercibeaucoup,)」の今秋冬でのブランド事業休止が彼女のインスタグラムで発表されたばかりだが、高島一精がデザイナーを務める「ネ・ネット(Ne-net)」もやはり今秋冬でその派生ブランド「にゃー」とともに事業を休止する。宇津木えりも高島一精もすでに退社しているという。

業績が悪いからなのだろうが、この一連のデザイナー切りは凄まじいものがある。昨年はライセンス契約満了により「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」ブランド事業を休止したエイ・ネットだが、こちらは津森千里のデザイン事務所であるティー・シィーが2020年春夏から同ブランドを継続している。

2015年春夏シーズンをもって退社していた「スナオクワハラ(SUNAOKUWAHARA)」ブランドのデザイナーだった桑原直は新生「スナオクワハラ」を始めている。

この他には1994年から「ファイナルホーム(FINAL HOME)をエイ・ネットで手掛けていたが、2015年でブランドを終了した津村耕佑がいたが、彼もブランド終了とともにエイ・ネットを退社している。

さらに遡ると「ズッカ(ZUCCa)」ブランドを立ち上げた小野塚秋良も2011年に退社して、その後は「ハクイ(HAKUI)」ブランドを立ち上げて活動している。

実にデザイナーを切り続けているエイ・ネットだが、津森千里と桑原直以外は、自分が始めたブランドを社外に持ち出すこともなく、「おとなしく」退社している。多分「どうせブランドを止めるんだから商標権を退職金代わりにいただけませんか」と激しく交渉したデザイナーもいたはずである。しかしそれは許さないようである。「ファイナルホーム」や「メルシーボークー、」や「ネ・ネット」がそれぞれのブランドを始めたデザイナー以外で、今後再登場することはまずあり得ないと思うが、それを許せないのがファッション・ビジネスの掟というものなのであろうか。とにかくデザイナー殺しの有り難くない異名をつけられそうなエイ・ネットである。残るは「タクタク(tac:tac)」の島瀬敬章だけではないのだろうか。今回の大リストラで死地を脱出できるのかどうか、大いに注目したいものである。

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