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1カ月で株価が4倍になったANAPの秘密兵器とは?

Jun 29, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
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若い女性に人気のカジュアルウェア・雑貨ブランド「アナップ(ANAP)」を手がけるANAPの株が暴騰している。今年の5月までは200円台を低空飛行していたのだが、5月28日に全店営業再開のお知らせがあって、株価が上昇に転じたのはファッションやアパレル関連の企業と同様だったのだが、その上昇率が尋常なものではなかったので、「何か材料があるのか?」「買い占め?」などの憶測がなされていたが、6月22日に従業員17名に対する譲渡制限付株式としての新株発行、業績連動型新株予約権の発行を相次いで発表。「何かあるのでは?」と思わせていたが、案の定6月23日にANAPの子会社であるANAPラボがAIを活用して自動的に人物画像・動画を切り抜くシステムである「Labpick」を開発したという発表がANAPからあった。株価は833円から1033円までストップ高した。意図的に「Labpick」の発表をずらしていたのではないかという疑惑が浮上する。その発表までに同社関係者が株を買っていたのではという疑惑もある。いわゆるインサイダー取引というものだが、どうなのだろうか。

「Labpick」システム自体は評価が高い。Amazonを始めとして、最近のECサイトでは背景白画面の指定が当たり前になっており、AI活用で効率的にトリミングできるシステムはありそうでなかったもの。特許がどうなるのかなど今後の成り行きが注目されている。

ANAPの2019年8月期決算は、売上高62億6100万円(-5.5%)、営業利益8800万円(-74.7%)、経常利益9100万円(-73.0%)、当期純利益6200万円(-75.6%)というあまり儲かっていない企業で、赤字決算もたびたび出している。特徴としてはEC化比率が56%と高水準である点だ。2020年2月の中間決算では、売上高29億5800万円(前年比-1.5%)、営業損失1億8700万円、経常損失1億9200万円、当期損失3億600万円と赤字だった。EC化比率56%の強みがなかなか活かせないようで、今期の黒字も危ぶまれている。果たして子会社が開発した「Labpick」がどう業績に反映するのか動向を注視したい。

 

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