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Japan|サザビー創業者と現会長に60億円と20億円の追徴課税

Apr 10, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
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サザビーリーグ(旧サザビー)の創業者の鈴木陸三氏と現会長の森正督氏の申告漏れが4月3日朝刊と4月4日夕刊の日本経済新聞によって報じられた。以下はその日本経済新聞の記事に基づいて書いている。

何が申告漏れの原因かと言えば、2010年から2011年にかけて行われたサザビーリーグ(当時大阪証券取引所JASDAQ上場)の上場廃止時の株取引に関する売却益についての鈴木氏及び森氏の考え方と東京国税局の考え方の相違。

上場廃止のためにサザビーリーグ株のTOB(公開買い付け)を行ったのは、同社の取締役常務執行役員だった角田良太氏が代表取締役を務める企業のAHA。角田氏の父である角田雄二氏はスズキヤ初代社長の鈴木雄二氏の次男(日影茶屋を経営する角田家に婿養子に入る)。その弟(三男)が鈴木陸三氏である。そしてそのAHAへの株売却のために鈴木陸三氏はオランダに2010年資産管理会社SRSを設立した。SRSは2011年にAHAに出資し、1株約5万円で約3万8000株を取得した。その後2015年にSRSは保有する株式のうち約1万9000株をTOB後のAHA(新サザビーリーグへ商号変更)へ1株約8万円で売却。売却益として数億円を申告していた。しかし東京国税局は新サザビー社の資産は大幅に増加しており本来の売却益は150億円になると認定。経費などを差し引いても130億円の申告漏れに当たると指摘。さらにSRSがオランダの会社であるため外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)も適用され、追徴税額は約60億円。鈴木氏はこれを支払った上で国税不服審判所に審査請求を行った。

森正督・サザビーリーグ現代表取締役会長も資産管理会社三木家を通じて、やはり1株5万円でAHAの株を取得し、新サザビーリーグ社に株式を1株8万円で売却し、約3億円の売却益を申告していた。これも東京国税局によれば売却価格は1株84万円が妥当で、約80億円の申告漏れだと認定。森会長も20億円の追徴課税を支払った上で国税不服審判所に審議請求している。

詳細は定かではないが、実際の価値よりも安く売却することが税金逃れに当たるとは思えないが、その分を補てんするような裏取り引きがあったのかもしれない。それにしても金額の大きさに驚く。ファッション&アパレル業界では、なんといっても「ユニクロ(UNIQLO)」を手掛ける柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長の資産3兆4000億円が飛び抜けているが、1972年サザビーを創業した鈴木陸三氏やその盟友とも言える森正督氏クラスだと数百億円レベルの資産を持っているようだ。

国税不服審判所がどんな判断を示すのかはわからないが、すでに上場をやめて非上場会社になっているとはいえ、創業者のこうした不祥事は企業の士気を著しく損なうことだけは間違いない。3月4日の朝日新聞のスクープによってストライプインターナショナルの石川康晴社長のセクハラが明らかになり、石川社長は辞任したが、毎月こういうピンクスキャンダル、マネースキャンダルが朝日、日経にスクープされているが、新型コロナウイルスとの戦いが続いているこの時期だけに、経営トップは襟を正してほしいものである。

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