2位(〃2位):川久保玲
3位(〃3位):渡辺直美
4位(〃6位):ココ・シャネル
5位(〃10位):アナ・ウィンター
6位(〃1位):ローラ
6位(-):黒石奈央子
8位(-):高田賢三
9位(〃9位):冨永愛
9位(〃18位):NIGO
11位(〃10位):柳井正
12位(-):三宅一生
この12人の中でローラと6位を分け合った黒石奈央子(1986年7月5日生まれ)は、ブランド「アメリ(Ameri)」のプロデューサである。いわゆるD2Cブランドの草分け的存在で、2014年創業。インスタグラムなどSNSを使ったマーケティングで、2019年7月には1カ月で30億円越の売り上げを記録したという。黒石は前職のアパレルブランド「エモダ(EMODA)」(マークスタイラー社)では店舗内装やECのデザインなどを担当していた。さらにブランドのブログ執筆やSNSなども担当。2014年の独立のときは業界内でも話題になっていたという。現在は代官山の路面店「アメリ」「新宿ルミネ店」の他、「アメリ ヴィンテージ」というセレクトショップを心斎橋で2019年から経営している。芸能人の愛用者も多く、有名どころでは田中みな実、マギー、AMIAYAなど。次の一手としては化粧品「ローワン(LOWAN)」をスタートさせている。すでにファッション系専門学生にも、そのビジネスの成功が伝わっているのだから、やはりSNSの威力としか言いようがない。専門学校生には少々高くてテイストがエレガント過ぎると思ったが、ジャケット2万3500円、シャツ1万4300円、ワンピース1万3000円、デニムパンツ1万9250円などであった。この黒石プロデューサーはビジネス感覚がなかなか鋭敏で今後が楽しみな人物である。
こういうSNS時代にあっては、もう渡辺直美(3位)やローラ(6位)や冨永愛(9位)はタレントでありファッション業界人ではないだろうと腹を立てても始まらない。ただしこうしたタレント・ブランドは本人たちに魅力がなくなったり、TVの露出が減れば、消えていく運命にあるわけで、このランキングにいつまで残るのかはさだかではない。
アナ・ウィンター(Anna Wintour)の5位(前年10位)はどう考えたらいいのだろうか。世界で一番広告を集められる女ということなのだろうが、たしかそういう意味ではとんでもないファッション業界人ではあるが、そんなファッション業界の仕組みが専門学校生に分かるとは思えないのだが(笑)。
高田賢三のランク外からの8位入りは、文化学園服飾博物館で大規模な回顧展が6月に行われたからだろう。また6位から4位にランクアップしたココ・シャネルは7月23日からドキュメンタリー映画「ココ・シャネル 時代と戦った女」が公開されたからだろうか。
私個人としては、阿部千登勢(「サカイ」)、森永邦彦(「アンリアレイジ」)、黒河内真衣子(「マメ クロゴウチ」)あたりがベスト10に入って来そうなものだと思ったのであるがそんな結果にはならないのだ。もうこのあたりのデザイナーでも、専門学校の学生にとっては「古い」ようだ。
いずれにしても、クリエイティヴィティのあるファッションデザイナーが尊敬するファッション業界人とは必ずしも言えないことを専門学生でも分かり始めているというアンケート結果だった。