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黒字化したBASE株が大暴落した陰にあの人あり!?

Nov 19, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
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今年開催する「CAMPFIREクラウドファンディングアワード」

コロナ禍で大躍進したファッション関連企業ということになると、「ネットショップを30秒、しかも無料で開設」を売りにした個人・小規模事業者向けECプラットフォーム運営のBASE(ベイス)であろう。すでに130万件のネットショップを開設しているが、そのうちファッション関連は半数以上を占めているという。11月13日に発表した2020年12月期決算の第3四半期決算では、売上高は59億円9600万円(前年比119.6%増)、営業利益は11億4600万円(前年2億8000万円の赤字)、経常利益は11億4800万円(同2億7900万円の赤字)、当期純利益は9億4900万円(同2億8300万円の赤字)と、ついに黒字化を達成し、通年でも黒字化は確実な情勢になっている。これを予測して株価は10月8日には1万7240円まで暴騰していた。新型コロナウイルスが本格化しそうだということで株が急落した3月19日には907円という安値をつけていたので、この7カ月で15倍近くになっているのでさすがに利食い売りも出て来ている。しかし、ちょっと下げがきつく、簡単に1万円を割り込んでしまった。なぜだろう?

原因として考えられるのは、5%以上保有している海外の大株主(米モルガン・スタンレー、JPモルガン・アセット、米ゴールドマン・サックスなど)が売りに転じているのが一番大きい。また4.41%保有のサイバーエージェントも同社株45万1000株を売却して41億円の売却益を第1四半期に計上することを11月19日に発表した。さらに9月24日に発表した120万株(発行価格1万810円)の海外での新株発行も、株式価値の希薄化につながるため嫌気されている。これによる調達資金は約124億円だ。

さらに嫌気されているのが、11月13日に発表された国内最大のクラウドファンディングサービス「キャンプファイヤー」を運営するキャンプファイヤーへの出資を実施し、資本業務提携を締結したというニュース。キャンプファイヤーの家入一真(いえいりかずま)代表は、実はBASEの共同創業取締役(現職)でもあるのだ。といっても、BASEの株を大量に持っているわけではない。恐らく持っていないのではないかと思う。現在の鶴岡裕太・社長(もう一人の共同創業者ということになる)が2012年にBASEを設立するときに、あれこれとアドバイスしたのが家入氏。もとはと言えば、鶴岡氏が学生のときにキャンプファイヤーでインターンをしていたのが二人の出会いである。鶴岡氏はすぐに家入氏に心酔。この連続(シリアル)起業家を名乗る家入一真という人物は、現代の坂本龍馬みたいな男である。「金はないが志が高い企業」を支援するという志に燃えた男である。大半の人はその情熱にほだされるのではないだろうか。2014年には東京都知事選にも立候補して16候補中第5位で落選した。落選の翌日2月10日には政治団体「インターネッ党」を設立している。その破天荒な人生は家入氏と離婚した紫原明子氏が書いた『家族無計画』(朝日出版社)に詳しい。家入氏がキャンプファイヤー代表取締役に就任したのは2016年2月(キャンプファイヤー自体は2011年の創業である)。まあ一緒に飲んだり話したりするのには面白い人物だろう。しかし株主にとっては、こういう人が率いる企業と資本業務提携して出資するなんていうのは、とんでもない「愚行」だ。せっかく黒字化してこれから儲かるという時に、「利益よりも理想に生きる」人物の企業に金をやるなんていうのなら、「株はひとまず売って利益を出します」というのが株投資の定石である。果たして恩人と仰ぐ家入龍馬と組んでBASEは次の成長軌道に乗れるのか。大いに注目したい。

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