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破綻したアルカディア・グループにハイエナのようにたかる英国EC企業

Feb 5, 2021.久米川一郎Tokyo, JP
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ASOS公式オンラインストアより

昨年11月に何度目かの経営破綻を宣言して、ついに完全ギブアップ状態にあったイギリスのアパレル企業アルカディア・グループは、同国EC企業のエイソス(ASOS)へ「トップショップ(TOPSHOP)」「トップマン(TOPMAN)」「ミスセルフリッジ(Miss Selfridge)」「HIIT」の4ブランドを3億ポンド(約430億円、1ポンド=143円)で売却した。エイソスは、EC事業を展開する企業で、今回も店舗は買収の対象外になっており、1万3000人のアルカディア・グループの従業員のほとんどは失職する。

いかにも、今のアパレルマーケットを象徴するような今回の買収だが、EC部門にそれほど注力してこなかったアルカディア・グループだけに、エイソスにとってはいい買い物だったという声が多い。2015年にはその企業価値は42億2000万ドル(443億円、1ドル=105円)と設定されていたこともあるから、お買い得だったと思われている。

しかし、ファストファッション市場での戦いでは、「ザラ(ZARA)」や「エイチ&エム(H&M)」に完敗している。たとえば日本市場では、2006年にラフォーレ原宿で小規模にスタート、その後2008年に森ビルグループおよび投資ファンドで設立したT'S(ティーズ)が展開していたが、2015年1月に全店閉鎖という惨敗を喫している。ファッション性はそれなりに評価されていたが、「ザラ」よりも上の価格設定や商品量の圧倒的な差やFC展開による出典方法の拙さなどのための早期撤退になった。その間の動きや商品をつぶさに見ている者からするとこのアルカディア・グループは、要するに総合力がないということなのだが、エイソスが「安物買いの銭失い」になる可能性は大いにありそうである。

なお、今回買収された4ブランド以外のアルカディア・グループ保有の「バートン(BORTON)」「ドロシーパーキンス(DOROTHY PERKINS)」「ウォリス(WALLIS)」については、やはりイギリスのECアパレル企業のブーフー(BOOHOO)が買収に向けて交渉中だ。ブーフーは今年1月25日に破綻した英国発百貨店のデベナムズ(DEBENHAMS)の商標権などの事業資産をわずか5500万ポンド(約80億円)で買収したばかりだ。EC企業がハイエナのように破綻したアパレル企業の買収に動いている。

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