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「コロナ・ショック」再び 2度目の緊急事態宣言でいよいよギブアップするアパレル企業が続出か? 

Jan 4, 2021.高村 学Tokyo, JP
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新型コロナウイルス感染症が急速に再拡大している。菅義偉首相は1月4日、首相官邸で年頭記者会見を開き、新型コロナウイルスの感染防止対策として「緊急事態宣言の検討に入る」と表明した。昨年12月31日に東京都の新規感染者数が1337人となり過去最高を更新、翌月2日には小池百合子東京都知事ら1都3県の知事が、政府に対して緊急事態宣言の発令を求めていた。菅首相は西村康稔経済・再生相らと緊急事態宣言を発令した際の影響を分析したうえで、早急に可否を判断するとみられる。昨年4月に発令した1度目の緊急事態宣言と比較して限定的なものにする意向のようだが、仮に緊急事態宣言が発令された場合、政府からの要請に従って、百貨店や商業施設、アパレル企業は今回も休業に踏み切る可能性がある。

三越伊勢丹ホールディングスは、昨年4月に発令された1度目の緊急事態宣言時に4月8日から5月29日までの52日間、首都圏6店舗を休業し、高島屋やJ.フロントリテイリングなども4月8日から休業した。約1カ月半にわたり営業ができなかったことの影響は大きく、三越伊勢丹ホールディングスの2021年3月期決算(4-9月)の売上高は3357億100万円(前年同期比41.8%)、最終損益は367億8700万円の赤字だった。高島屋の2021年2月期決算(3-11月)の売上高は4798億8000万円(前年同期比29.1%減)、最終損益は243億7700万円の赤字になり、J.フロントリテイリングの2021年2月期(3-11月)の売上高は2306億9900万円(前年同期比36.2%減)、最終損益は156億3200万円の赤字になった。さらに、百貨店や商業施設を主販路としているアパレル大手5社(オンワードホールディングス、ワールド、TSIホールディングス、三陽商会、レナウン)も大きな打撃を受けた。この5社だけで3000以上の店舗を閉鎖し、レナウンに至っては破産に追い込まれた。希望退職者の募集も行い、オンワードは413名、ワールドは294名の人員を削減している。TSIホールディングスは300人の希望退職者を募集し、三陽商会も募集人員を定めていないが希望退職者を募集している。

2度目の緊急事態宣言が発令された場合、いよいよギブアップするアパレル企業が続出するのではないだろうか。秋冬シーズンのセールが終わり、ちょうど春夏シーズンの立ち上げのタイミングで長期の店舗休業となれば、春夏商戦が吹っ飛ぶことになる。売上が立たないだけではなく、在庫を抱えることにもなる。アパレル企業だけでなく、納入業者も同様に追い込まれるだろう。新年を迎え仕事始めとなった日から「コロナ・ショック」に再び見舞われ、予断を許さない状況だ。2度目の緊急事態宣言の発令に伴い、政府はどのような対策を示すのだろうか。昨年12月に、政府が5人以上での会食を控えるよう呼びかけるなか、菅首相が自民党の二階俊博幹事長やみのもんた氏、王貞治氏ら8人ほどで会食していたことが判明し、一国のトップとしての危機意識の希薄を露呈してしまった。よもや"スガノマスク”を配布するなどと言い出さないことを願うばかりだ。

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