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タイムレスでジェンダーニュートラルなレザーブランド「クラフスト」 週末の来店予約がフルで埋まるというその魅力とは

Dec 12, 2021.高村 学Tokyo, JP
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「クラフスト」のクリエイティブディレクターの久保雅子氏

2020年4月にレザーブランド「クラフスト(CRAFSTO)」がローンチした。タイムレスやジェンダーニュートラルといったキーワードを大切にするブランドで、商品を長く使ってもらいたいという思いから、パーツ交換などが発生する場合以外は永年で無償修理に対応している。「直しながら一生使えるように」という「クラフスト」のブランドフィロソフィーは、まさにサステナビリティを体現していると言える。新型コロナウイルスが落ち着いた11月以降は、週末は来店予約がフルで埋まるなど、「クラフスト」のこうした姿勢が共感を集めている。

今年2月にはクリエイティブディレクターに久保雅子氏が就任し、ブランドコンセプトはさらに洗練されたものにリブランディングされている。久保氏は「タイムレスでジェンダーニュートラルなプロダクトを作りたいという思いがありました。時代や性別、年齢を超越するプロダクトこそが本当にいいものだと思いますし、そういったことが『クラフスト』の基本的な考え方です」と語る。そのためには素材選びにこだわり、審美性はもちろん耐久性など厳しい基準を設けて厳選している。「クラフスト」は現在、天然皮革を3種類採用しており、新たにメキシコ発祥の植物性由来のサボテンを使用したヴィーガンレザーを1種類追加した。バッグや財布、フラグメントケースなどのアイテムがラインアップされている。

久保氏はまず、ブランドコンセプトを表現するために、英国のデザイナーに4つのCで構成される新たなシンボルマークを作らせた。Cはそれぞれ「職人(Craftman)」「顧客(Customer)」「循環(Circulation)」「創造性(Creativity)」を意味しており、その全てが有機的に結びつくことで「クラフスト」のひとつの世界観ができあがる。東京・蔵前に構えるショップインファクトリーでは、あえて職人たちの手仕事が来店者から見えるような作りになっている。「職人たちが手仕事でしっかり作っていることをお客さまにインプットしたいという思いがあります。私自身、クリエイティブに関わる全てのクリエイターとのやりとりを大事にしていますが、職人たちとのコミュニケーションは特に大事にしています」と、1つ目のCである「職人」についての思いを語る。

さらに、2つ目のCである「顧客」については、「『クラフスト』が大事にしていることは、お客さまのライフスタイルの中で完成するものでありたいということです。カップルや家族がお互いにスタイルは違ったとしても、『クラフスト』を笑顔でお持ちいただくようなイメージをいつも大事にしています」と、考えている。3つ目のCである「循環」については、環境に優しい素材を使用することはもちろん、トレーサビリティをしっかり証明できる素材を厳選し、さらには顧客のプロダクトを一旦預かりきれいな状態にメンテナンスして戻すことまでを意味している。

4つ目のCである「創造性」については、「日本発のブランドですから、日本ならではの繊細な表現について考えます。日本文化は、なにか足りないものがある気がするものの、でもその足りないものが美しいと感じます。私もミラノに住んでいたことがあるので体験としてわかりますが、その余韻のようなものを『クラフスト』は大事にしています。シンプルとはまた違い、余韻の中に美しさがある、そういったプロダクトです。どんなに時代が変わっても大事にしてもらえるプロダクトとは、そういったものではないでしょうか」と、説明する。確かに「クラフスト」のプロダクトは、西欧的なノーブルな印象を受けるが、日本的なミニマルな要素も感じられる。余韻の中の美しさとは、日本だけではなくミラノでも活躍してきた久保氏ならではの感覚だ。「クラフスト」のプロダクトにはこうした思いが詰め込まれている。

久保氏は今、近い将来に向けて「クラフスト」の海外展開を見据えている。「来春から北米と中国で商談を予定しています。海外マーケットのリサーチも始めています。グローバルブランドとして認められるには、ブランド自体の強い個性が必要だと考えています。海外ではトレンドを意識する方は少なく、ブランドの性格やストーリーに惹かれていく方が多いです。ブランドは本来、価値観や買い物体験を届けることです。それは『クラフスト』も大事にしていることです。そこを掘り下げていくと、購入したものをずっと大事にしたい、あるいは自分のスタイルで選びたいということに辿り着きます。北米でもこうした購買意識は進んでいますので、そこにアプローチしていくつもりです」。

国内外に目を向けて、精力的にブランド理念を発信していく久保氏だが、「新しい形の革製品を今の時代に合わせて伝えていきたい、そんなナチュラルな気持ちでいます」と話す。2022年の春には廃棄りんごをアップサイクルすることで生まれた植物由来のアップルレザーを使用した新作をリリースし、夏には廃材を使用したプロダクトを発売する。国境や時代を超えて愛されるジャパンレザー・ブランドを目指す「クラフスト」の今後のChallengeに大いに期待したい。

 

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