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今回のコロナ五輪でひとり笑ったのは誰だ!?

Aug 12, 2021.三浦彰Tokyo, JP
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「終わり良ければ全て良し」ではなくて、「終われば全て良し」というムードで東京五輪が8月8日に終了。ゴリ押し五輪開催は、第5次感染拡大という巨大な負の遺産を残して閉幕した。日本選手団の金メダル27個、銀メダル14個、銅メダル17個というささやかなプレゼントはあったものの、総費用は4兆円に迫る(週刊ポスト2021年8月13日号)とされている。当初予算(1兆6000億円)の倍以上に膨れ上がった。こんな呆れたコロナ五輪に税金4兆円もつぎ込んで、「金メダル27個!感動をありがとう」では済まされないだろう。どんな形になるのかは分からないが、「オリンピック特別税」を日本国民そして東京都民は今後払わされることになるのだ。全くもって高額のTV観戦料である。

こうしたドサクサで、高笑いが止まらないのは「政商」電通であろう。「おまえもワルよのう」と社名を変更した方がいいくらいだが、事情通によればこの総費用4兆円の2~3%の800億~1200億円ほどは懐に入れたと関係者は推測している。すべて税金である。全くもって呆れるしかないが、五輪閉幕の3日後になる8月11日に発表になった電通の2021年12月期第2四半期決算(2021年1月~2021年6月30日)の主要数字は以下の通りだった。

・売上高4927億1400万円(前年比7.3%増)
・営業利益873億8000万円(同193.5%増)
・税引前利益631億400万円(同96.4%増)
・四半期統括利益775億4100万円(前年698億400万円の赤字)

と完全に息を吹き返した格好になっている。本社ビル売却が業績好転の主因だとされているが、その実態はまさに五輪特需を腹一杯満喫したということなのだろう。しかし、恥ずる素振りもなく五輪閉幕の3日後に半期決算を平然と発表するあたりが「おまえもワルよのう」の本領発揮である。しかも、経営成績に関する定性的情報には「五輪」も「オリンピック」もただ一語も登場しない!ただ平然と「顧客企業によるデジタルトランスフォーメーション需要などによって好調を維持したデジタルソリューション領域に加え」の主文に続き「顧客企業によるマス広告出稿の回復、さらに事業改革による強化されている統合ソリューションの提供拡大」と説明されているのみである。「おまえもワルよのう」という感じである。ちょっと笑うしかない。8月12日の日経新聞では、「東京五輪・パラリンピックの影響は?」と尋ねた日経記者に「効果は限定的」と曽我取締役は答えている。「限定的」の意味が分かっているのだろうか?

この第2四半期決算が発表された次の日から電通株は急騰。8月12日は8月11日の終値4080円から一気に4360円台まで上昇して、4285 円で取り引きを終えている。今回のオリンピックは、まさに電通による電通のための電通五輪だったようである。

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