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「エルメス」伊勢丹新宿店がリニューアル 都市のエネルギーと自然環境が融合した新空間

Nov 26, 2021.西岡愛華Tokyo, JP
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リニューアルした「エルメス」伊勢丹新宿店 ©Nacása & Partners

エルメスジャポンは11月23日、全面改装を終えた「エルメス(HERMÈS)」伊勢丹新宿店をリニューアルオープンさせた。同店は1995年にオープンし、2014年の1度目の改装を経て、今回は売り場面積の拡大に合わせてデザインも一新された。

今回の改装設計を担ったのは、パリの建築設計事務所・RDAI(レナ・デュマ・アルシテクチュール・ダ ンテリユール社)で、新宿の街が持つ都会的なエネルギーと広大な公園の静寂という2つの対照的なテーマから空間を創り出すことで、日本文化に内在する二元性を表現した。都市のエネルギーと静かな自然環境という2つの対照的なテーマを調和させ、新しく生まれ変わった「エルメス」伊勢丹新宿店は、フランスのメゾンである「エルメス」が大切にする創造性の自由へのオマージュを存分に表現している。

2つの空間には印象的なファサードと正面エントランス、そして扉の無いオープンエントランスが設置されている。百貨店に足を踏み入れるとまず目を引くのが、やわらかな光のラインが壁や天井に流れるようにデザインされ、日本の伝統的な朱色に着想を得たバーガンディーの美濃焼タイル(積み格子)を配置した「エルメス」のファサード。オープンエントランスをくぐると、仏・パリにあるフォーブル・サントノーレ店と同じく床に埋め込まれたエクスリブリス(蔵書印)と、 ネオンピンクのロゴが出迎えてくれる。店内は、スタッコ仕上げの明るいピンクが印象的な壁と、天井のやわらかな曲線が作り出すあたたかい空間に仕上がっている。バーガンディーとゴールドを基調とした空間のベージュの天然石の床には、雨に映る街の光をイメージした上質なラグが敷かれ、フィッティングルームの壁面には京都の伝統的な織物が使用されている。また、婦人靴コーナーは、日本古来の伝統工芸である細い絹糸を組み上げて作られた、美しい紗のような組紐が見て楽しい空間となっている。

さらに店内では、伝統性と現代性を織り交ぜて選ばれた数々のアート作品の観賞も楽しむことができる。「エルメス」のロゴのもとになった絵画を描いたアルフレッド・ド・ドルー(Alfred Dedreux)による19世紀の原画から作られたリトグラフなど、エミール・エルメス・コレクションから選出された複数の作品が同店に並ぶ。また、 ポーランドのアーティスト、ヤン・バイトリク(Jan Bajtlik)が2019年に中世の動物画をイメージしてデザインした「スウィートドリームス」や、 イタリアのアーティスト、ジャンパオロ・パニ(Gianpaolo Pagni)が2016年に手掛けた「トレ・グラン・アパラ」など、「エルメス」のスカーフである「カレ」のデザイン画も数点飾られている。フレグランスコーナーの背景には、東京出身のフォトグラファー・志鎌猛(しかま・たけし)による自然界の情感あふれる写真作品が展示されている。そして、フランスのアーティストデュオ・Zim&Zouによる細部まで手作業で作られたペーパーアートの作品で彩られた、明治通りに面するウィンドウディスプレイも必見だ。「人生の旅(Journey of a Lifetime)」と名付けられたディスプレイは、同ブランドの2021年の年間テーマである「オデッセイ」に呼応するように、カラフルな宇宙船での旅の間に超現実的な出会いを重ねてきた宇宙飛行士を描いている。

 

©Nacása & Partners

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