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星野リゾートの星野佳路社長が考えるコロナ後の観光業とインバウンド需要

Apr 14, 2021.高村 学Tokyo, JP
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星野リゾートの星野佳路社長(2019年9月撮影、PHOTO:SEVENTIE TWO)

星野リゾートは4月14日、オンラインプレス発表会を開催した。発表会には星野佳路社長が登壇し、コロナ後の観光業や東京オリンピック・パラリンピックについて考えを語った。星野リゾートは、「リゾナーレ」「星のや」「界」といった宿泊施設を国内に43拠点、海外に3拠点を展開している。昨年はコロナ禍により取扱高は2割近く下がったものの、2021年は京都に3拠点、九州に2拠点、北海道と沖縄にそれぞれ1拠点、そして中国浙江省に1拠点を開業するなど、積極姿勢は崩さない。

星野社長は新型コロナウイルスが直撃した昨年、自社の倒産確率を発表し、冷静に状況を分析してきた。「売り上げ確保、コスト削減の度合い、外部からの資金調達という3つの要素においてシナリオを作り、倒産確率を計算してきた。5月の倒産確率は38.5%だったが、6月から少しずつ良くなり、GOTOキャンペーンが始まったこともあり11月には8.3%まで下がった。日本でもワクチン接種が始まったが、ワクチン接種をしている国は普通の生活に戻りつつある。ワクチン接種が今年のキーになるだろう」と語る。

ワクチン接種が順調に行われていったとして、インバウンドはいつ戻るのか。この見通しについて星野社長は「少し時間がかかると思っている。まず自国の状況を改善しなくてはいけない。そして先方の国の状況を確認して、1国ずつ入国を許可していくことになると予想している。ただ、日本はワクチン接種が遅れている。ワクチン接種のスピードを早めることが大事で、その状況次第でインバウンド、あるいは国内の観光需要も変わってくる。今年は2019年度と比較して5%くらいしかインバウンド需要は戻らないと思うが、戻り始めることは大事なことだ。2022年には50%、2023年には100%に戻すことへの挑戦となるのではないか。そのためにも今から活動を開始することが非常に大事だ」と語っている。

アフターコロナを見据えて、今後どういったことに取り組むことが大事か、そのことについても星野社長は考えを述べる。「予約数と感染者数は完全に相関関係がある。そして、緊急事態宣言が発令されているかどうかよりも、感染者数に敏感だということがわかった。ところが、今回の第4波はちょっと違う。感染者数が伸びているにも関わらず、予約数があまり減ることがない。今までになかった動きで、消費者の行動パターンが変わってきていると感じる。それを踏まえて、マイクロツーリズムに対する本気度が重要だ。提言してきた内容は、1〜2時間の移動で、自家用車による家族単位の旅行だ。こういった個人旅行であれば、感染リスクはないと思っている。日本各地のホテルは感染防止策を徹底してやっている。収容できるキャパも減らして、ソーシャルディスタンスを守っている。ここをしっかり安定させることが大事だ。昨年はインバウンドがなくなった部分をマイクロツーリズムが補ったが、今後ここをいかに本気で取り組めるかが非常に大事だと思っている」。

星野社長は、今年夏に開催が予定されている東京オリンピック・パラリンピックについて、「無観客でもいいので開催すべきだ」という考えだ。開催期間は2カ月弱のため、この期間だけで観光事業の経営状態が良くなるわけではないが、世界に対して日本は旅をするのに安心な国だということを発信する良い機会だと捉えている。東京五輪開幕までちょうど100日と迫ったが、世界に対してなにをどうアピールするのか、世界中が注目している。

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