
コロナ禍に悩まされた3.4.5月の3カ月の状況を織り込んだ第1四半期決算が出揃い始めている。まあ普通の小売業やアパレル関連企業ならこの3カ月の赤字はしようがないというところか。第1四半期を早々と発表している4社の決算短信を眺めてみた。
まずJ.フロントリテイリングの第1四半期(2020年3月1日〜5月31日、国際基準):
総額売上高:1134億3800万円(−58.6%)
事業利益:−38億7900万円(前年は+124億7600万円)
営業利益:−271億300万円(前年は+127億9400万円)
税引前利益:−284億9200万円(前年は+121億500万円)
百貨店は大体こんな感じなのではないだろうか。ポイントは、今期の赤字はやむを得ないとしても、来期の黒字化は絶対で、どれだけ昨期のレベルに迫れるかだろう。
続いてアダストリア(旧ポイント)の第1四半期(2020年3月1日〜5月31日):
売上高:332億6700万円(−40.9%)
営業利益:−47億5800万円(前年は+52億2100万円)
経常利益:−48億2200万円(前年は+51億1900万円)
当期純利益:−36億8100万円(前年は+32億6700万円)
前期の6ガケの売り上げで、前期の利益を全て帳消しにしてしまったという内容だ。今期どこまで戻せて黒字化できるかが焦点だろう。
続いて、大株主のシカゴの投資ファンドRMBから株主名簿の閲覧・騰写を請求されていたがダラダラした対応をして、RMBから「拒絶され続けている」と東京地裁へ仮処分申し立てをされた三陽商会の第一四半期(2020年3月1日〜5月31日)。
売上高:57億5300万円(前期は2019年1月1日から3月31日までの3カ月で161億1400万円。決算期変更のため比較できず。以下同様)
営業利益:−28億5000万円(前年は上記の期間に2億4500万円)
経常利益:−29億9800万円(前年は上記の期間に1億9800万円)
当期純利益:−42億8400万円(前年は上記の期間に400万円)
非常に厳しい内容だ。簡単に言って何もしない方が良かったという決算。緊急手術の最中に大地震があって停電になってしまったというような事態である。「ファイト!」と応援したいのだが、どうもこのコロナ禍が命運を決めてしまったような気がする。自力での再生はかなり難しいと思わせるような第1四半期の決算内容と言えそうだ。
西松屋チェーンの第1四半期(2020年2月21日〜5月20日)の決算:
売上高:407億2000万円(+8.5%)
営業利益:36億6600万円(+45.6%)
経常利益:36億9500万円(+41.1%)
当期純利益:24億4800万円(+44.5%)
コロナ禍を全く感じさせない決算で、一体どの国の企業かと言いたくなるような驚愕の決算である。コロナ感染を避けた粉ミルク、ベビーフード、紙おむつなどの消耗品のまとめ買いに誘発されて衣料消費が好調で、そのため値下げロスが減少して好決算につながったという説明だが、こういう企業はほかに作業服のワークマンがあるぐらいである。やはり中途半端なファッション衣料の不振、衰えてしまった百貨店というチャネルに依存した企業の長年にわたるぬるま湯体質によるものだとは思うが、コロナ禍が仮に避ってもそういう企業には今の厳しさに変わりがないように感じる。

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