BUSINESS NEWS
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail

日本アパレル・ファッション産業協会新理事長就任記事を読んで思うこと

Jun 24, 2021.久米川一郎Tokyo, JP
VIEW6
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail
オンワード樫山(PHOTO:SEVENTIE TWO)

繊研新聞6月24日号を眺めていたら日本アパレル・ファッション産業協会の新理事長にオンワード樫山の大澤道雄取締役会長が選ばれたという。あれ、昨年上山健二・ワールド会長が理事長になったばかりじゃなかったか。気になって調べてみると、上山氏は北畑稔理事長(レナウン会長)が任期途中で退任したために、急遽就任したので任期は1年だったのだ。北畑氏は会長を務めていたレナウンが昨年5月15日に民事再生手続きに入ったため任期途中に退任した。その翌月には上場廃止。また主要ブランドを売却して実体がなくなったということで民事再生認定を取り消されて、結局自己破産した。今後もこの日本アパレル・ファッション産業協会では似たようなことが起きないとも限るまい。それぐらい前途は暗い。

オンワード樫山→レナウン→ワールド→オンワード樫山といわゆる大手アパレルで理事長が持ち回りになっているが、新鮮味のないこと夥しい。それとも理事長職を務めると叙勲とかあるいは自分の会社にとって公共事業のオスソ分けが来るとか何かいいことがあるのだろうか。

この日本アパレル・ファッション産業協会はそもそも日本アパレル産業協会だった。それが「どうもアパレルだとオシャレなイメージがしない」とかなんかで2011年に日本アパレル・ファッション産業協会に名称変更していた。それを逆上る2001年には、日本アパレル産業協会(1979年設立)を母体にして、東京婦人子供服工業組合、東京メンズアパレル工業組合、原宿アパレル協議会を統一して日本アパレル産業協会になったのだった。
こんなことを書くのは不謹慎かもしれないが、この20年間でこのうちのかなりの企業が無くなっている。

もっと言えば、1979年に設立された日本アパレル産業協会の設立時にはアパレル業界はすでにピークを終えて、40年に及ぶ長い下り坂に入っていたのだ。一般には1990年のバブル経済崩壊と軌を一にしてアパレル市場も縮小が始まったというのは誤りで第2次オイルショックの1979年から供給過剰の状況に陥っていたのだ。

ある意味では親睦団体にすぎない日本アパレル・ファッション産業協会にどんな存在意義があるのかと思うが、集まれば集まったで、傷のなめ合いではないが「頑張ってみよう」というような力が湧いてくるのかもしれないから、それなりに存在意義というものもあるのかもしれない。あるいは、年会費を払ってこうした会の会員になれるだけでもまだ余裕があるぞと妙な自信が湧くのかもしれない。しかし、本当に雨が止んで気持ちの良い晴れ間が見えるというような日はまずやって来ないということだけは肝に命じたほうがいいだろう。会員各社の幸運を祈りたいものだ。

READ MORE