BUSINESS NEWS
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail

Japan|千趣会の筆頭株主になったJR東日本は何を狙っているのか?

Sep 27, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
VIEW193
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail
JR東日本の深澤祐二代表取締役社長(左)と千趣会の梶原健司代表取締役社長

「ベルメゾン(Belle Maison)」カタログで知られる通信業者で東証一部上場の千趣会の株が急騰している。9月17日に発表されたJR東日本との資本業務提携がその原因だ。JR東日本が同社の第三者割当増資を約20億円引き受けて、出資比率12.46%の筆頭株主になった。この発表をうけて、同日に千趣会株は394円から474円までストップ高した。JR東日本の駅ビルや駅ナカで「ベルメゾン」のリアル店舗をオープンしてカタログ、ネットとのシナジー効果を目指す計画や千趣会が2015年に買収したワタベウェディングとのビジネスなども視野に入れているという。ストップ高した後は、株価はタレているが、もしかするとJR東日本がさらに買い進んで千趣会を完全子会社化するのではないかという見方もないではない。これには、2013年にセブン&アイ・ホールディングスがネット事業の拡大のためにカタログ通販大手のニッセンホールディングスの買収を行ったことの連想が働いているようだ。

千趣会自体は、2015年J.フロント リテイリングとの資本業務提携を結び、J.フロント リテイリングは約102億円で千趣会の第三者割当増資を引き受けた。両社は2016年春から共同で婦人服ブランドを開発し販売するなどしたが、成果はがらなかった。その後、政府系ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC)が運営する官民ファンドに優先株を2018年に割り当てて、資金調達し、千趣会はJ.フロント リテイリングの株を買い戻していた。しかし2017年12月期の決算で42億円の営業赤字、110億円の最終赤字を計上し、希望退職を募集するなど事業の構造改革を進めた結果、2019年12月期では黒字転換し、新しい施策を進めていた矢先のJR東日本との資本業務提携だった。今にして思えば、REVIC運営の官民ファンドからの資金取得にはJR東日本の口ききがあったのかもしれない。

今後のJR東日本と千趣会の関係がどんなものになるのか、大注目ではある。

READ MORE