帝国データバンクによると、出版社の海竜社(東京都中央区、代表:下村のぶ子)が9月7日付けで事業を停止し、事後処理を弁護士に一任し、自己破産申請の準備に入った。負債は2021年2月末時点で約2億4000万円にのぼっていた。海竜社は1976年に設立された出版社で、家庭教育書や健康書、生活実用書をはじめ、人文・歴史など幅広い分野の書籍を主に中高年層向けに発行してきた。ジャーナリストの池上彰の著書「経済のことをよくわからないまま社会人になった人へ」や野村克也・沙知代の共著「野村セオリー〈絆〉」、三越伊勢丹の大西洋元社長の「常に革新を生み続ける『三越伊勢丹の秘密』」などの作品で知られる。
出版業界をめぐっては、今年6月に集英社が『セブンティーン(SEVENTEEN)』や『マリソル(MARISOL)』の定期刊行終了を発表するなど、出版物の販売不振が深刻化している。海竜社も最盛期である2013年期2月には約8億1000万の売上高を計上したものの、2021年2月期には約1億3000万円にまでダウンしていた。こうした状況の中、厳しい資金繰りを余儀なくされ、小規模経営で資金調達も限界に達し、事業継続を断念した。