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今秋百貨店8店に一挙出店するキムラタンの笑えない事態

Aug 28, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
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キムラタンが出店したあべのハルカス近鉄本店

神戸に本社を置く子供服製造販売のキムラタンが今秋、百貨店チャネルで一挙8店舗に出店するという。子供服が好調なためではない。百貨店子供服売り場で撤退が相次いでいるために、同社への出店オファーが急増しているのだという。ハッキリ言えば、売り場に穴が開いたので、「助けるつもりで出店してくれ〜」という百貨店の売り場担当者からの悲鳴に応えたということだろう。

キムラタンは、東証一部上場企業だが、その株価は業績が好調だった2004年4月23日には1560円という高値があったが、ここ5期赤字を続けている。最近は20〜30円という超低位株として知られている。いつ倒産してもおかしくない子供服企業である。今回の百貨店8店に今秋出店のニュースが入ったためか、珍しく20円台の同社株が30円台をつけていて、話題になっているぐらいだ。百貨店8店の詳細は、近鉄百貨店のあべのハルカス近鉄本店、和歌山店、奈良店、四日市店、伊勢丹の浦和店、京阪百貨店の守口本店、くずはモール店、丸井今井の函館など地方店がほとんどである。

百貨店の10坪ほどのインショップ展開なら、かつては年間回せば1億円の売り上げも夢ではなかったが、最近ではコロナ以前でもよくても年商5000万円というのがやっと。月商400万円ができるかどうかというレベルだろう。しかし年商5000万円が8店なら、4億円の上乗せ。2020年3月期の売上高が49億円の同社にとっては、それだけで8%の増収だから、オイシイ話にも思える。しかし、コロナ後の百貨店の子供服売り場などおいそれと引き受ける企業はなかったので、キムラタンにオハチが回ってきたのだろう。いよいよ百貨店も、こうした倒産寸前の企業に「お願い」しないと売り場に穴ができるようなところまで追い込まれているのだ。その厳しさがよく分かる今回のキムラタンの一挙8店出店である。

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