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セコい「値引き」ではない。LVMH&ティファニー再合意の真意

Nov 6, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
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LVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)は、10月29日にティファニー社買収に関して再合意した。9月にはアメリカのフランス製品への関税強化などでフランス政府からティファニー買収を延期するように要請があったとか、コロナ感染で情勢が大きく変わったことを理由に、LVMHはティファニー買収を断念していたが、今回当初予定されていた1株135ドルよりも、3.5ドル安い1株131.5ドルで再び買い取ることに合意。2021年の年初に手続きが完了する。総額では162億ドル(1兆6848億円*)から4億3000万ドル、日本円にして、447億円の値引きになった。

簡単に言えば、LVMHの「ゴネ得」ということができるだろうか。LVMHにとって、447億円は大した金額ではないが、もちろん安いにこしたことはない。

前回(9月11日)、この両社の破談について書いた時は、本当の理由はティファニー社の内情が予想以上に悪いことだと推測したが、この程度の「値引き」でLVMHは納得したのだろうか。どうも釈然としない。いずれにしても、ティファニー側が終始「お願いです。買ってください」という姿勢を見せていた点がポイントだ。

だとすれば、今回の騒動は、LVMH側が買収後も圧倒的な主導権をもって、完全にティファニー社を支配下におくための「儀式」だったと考えるのが正しいのではないだろうか。いずれにしても、一度はダナ・キャラン社を買収して、アメリカビジネスを拠点にしたLVMHは、これに失敗して売却。それ以来のアメリカビジネスの拠点をティファニー社に求めたと言える。しかし全米の新型コロナ感染者は965万人、23万人の死亡者を数えており、そうした国が正常なマーケットとして再生するには、かなりの年月が必要になるだろう。たぶん3年以上が必要になるのではないか。そうした中で、アフターコロナの世界でも「ティファニー」がかつての輝きを維持するだろうとLVMHは考えているのであろう。

今回の再合意がくつがえることはもうない。

*1ドル=104円換算(11月6日時点)

 

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