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Global|LVMHのティファニー買収が破談になった本当の理由は?

Sep 11, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
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いろいろと難癖をつけて、モエヘネシー・ルイ ヴィトン(Moët Hennessy Louis Vuitton、以下LVMH)はティファニー(TIFFANY&CO.)買収を止めようとしている。直接の原因はフランスが導入を決めたデジタル課税に対するアメリカの報復関税が原因だという。LVMHがティファニー買収に対して、新型コロナウイルス拡大による市場への影響や「ブラック・ライブズ・マター」の本格化、混迷する米国大統領選など、たしかにLVMHにしてみれば昨年11月に162億ドル(1兆7000億円)で買収することにした決定を再考するのは当然とも言える。難癖をつけて買収金額を下げようとしているのではという見方もあるが、そんなセコイことをLVMHはしない。払うべきものは払うが、あまりにも市場環境が激変したので、撤退もやむなしという決定を下したと一般的には見られている。そうした決定を下した以上は、それを完遂するために最良の方法を選ぶ。今後、裁判は避けられないだろうが、LVMHが態度を変えることはない。これはあくまで私の個人的な意見に過ぎないが、買収契約が結ばれた後に、ティファニー社の財務内容などをさらに詳しく調べてみたら、いろいろと想定外の問題が出てきたのではないかと見ている。契約締結前のデューディリジェンスを行ったLVMH側責任者に処罰はなかったのだろうか。

そもそもが今回の買収劇はティファニー側からLVMHに持ち込まれたものである。これを忘れてはいけない。女が恋い焦がれた男を射止めたのに障害が出て破談。女はヒステリーを起こして男にすがりつくが、男は無視するだけ。どこかで聞いたことがあるような話だが、これはもう未練がましくしないで、ティファニーはすっぱり諦めた方がよい。もちろん破談に伴う慰謝料はきちんといただいて、新しい相手を見つけるのか、自分一人でちゃんとやっていくのか、決めた方がいい。ティファニーまでLVMHの傘下に入ったのでは、ハイジュエリーの業界は面白くない。アメリカの唯一のラグジュアリーブランドとして頑張れみたいな声がやたら聞こえてくるのである。

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