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「編集者ブランドに成功なし」のジンクスをマッシュの「アウール」は打ち破れるのか?

Oct 19, 2021.三浦彰Tokyo, JP
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マッシュスタイルラボがメンズの新ブランド「アウール(AOURE)」を2022春夏ものからスタートさせる。陣頭指揮をするのは同社の濱田博人専務で、クリエイティブ・ディレクターは元「メンズクラブ(MEN’S CLUB)」編集長の戸賀敬城(とがひろくに)氏だ。

2016年7月21日付にセレクトショップチェーンのナノ・ユニバース(Nano Universe)を創業した藤田浩行氏が業績不振から同社社長から取締役に降格するという「事件」が起こった。その後任社長に就任したのが濱田氏(当時51歳)である。ナノ・ユニバースは東京スタイルに買収され、その後東京スタイルと旧サンエーインターナショナルが経営統合されてTSIホールディングス(以下TSI)傘下になってからも、「治外法権」として藤田氏がワンマン体制を敷いていたのだが、業績不振を受けてTSIがコミットする改革が必要と当時の齋藤匡司社長が「介入」を決めて濱田氏を送り込んだのである。当時51歳の濱田氏は経営戦略本部企画開発部長という企画の責任者。その2年前には営業本部店舗開発部長の要職にあったから、経営の中心人物である。その後藤田氏はTSIを退社した。ナノ・ユニバースはTSIでも稼ぎ頭のセレクトショップだっただけに、カリスマ創業者が去った後のナノ・ユニバースを託したのだから濱田氏の手腕をTSIは高く買っていたのだろう。これはうまく行けば出世街道に乗りそうだなと思われたのだが、濱田氏は2020年3月にTSIの人事異動でナノ・ユニバース社長を退任し、さらにTSIも退社。どうも当時の上田谷真一TSI社長からは十分な評価を得られなかったようだ。その後6月1日付でマッシュスタイホールディングスの上級執行役員ファッション戦略本部長に就任。そして今回のメンズ事業の中核ブランドとして期待される「アウール」で陣頭指揮を執るに至っている。

一方「アウール」のクリエイティブ・ディレクターになるのは、元「メンズクラブ」の編集長の戸賀敬城(とがひろくに)氏である。1967年9月8日東京生まれで通称はトガッチ。「Begin」のアルバイトから世界文化社に入社。「Men‘s EX」の創業スタッフもしているから、「LEON」(主婦と生活社)で「ちょい悪オヤジ」旋風を巻き起こした岸田一郎人脈の編集者である。その後2006年「UOMO」(集英社)エディトリアルディレクターを経て2007年にハースト婦人画報社「Men’s CLUB」編集長に就任。その10年後2017年4月28日付で同社を退社して、独立している。いわゆる雑誌編集者一筋の人物だが、このファッション業界では不思議とファッション編集者が手掛けたブランドというのは成功しない。「よくファッション」を知っている」からピッタリと思われるのだが、「よく知っている」というのと「売れるファッションを企画する」というのは雲泥の差があるのである。そもそもファッション編集者は、広告の入るブランドを持ち上げて読者に買わせるのが仕事なわけで、「売れるファッションを企画する」のが仕事ではないのだ。今回の「アウール」では、もちろん戸賀氏がデザインするわけではなく橋本淳というデザイナーがついてはいるものの、打ち出している30代~50代「ニューリッチ層」に「アウール」のジャケット1万8000~3万3000円の商品が響くのかどうか。少なくとも「アウール」に関する記事を読んだだけでは、新機軸に乏しく当面の目標25億円というのはかなりハードルが高いと思えるのだが。クリエイティブ・ディレクターには、「ジェラート ピケ」「スナイデル」などの大ヒットをウィメンズで発案したマッシュホールディングスの創業者である近藤広幸社長こそが適任だと思うが、忙しいのだろうか。

 

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