BUSINESS NEWS
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail

ミラノコレを独占ライブ配信する朝日新聞は「ファッション」が分かっているのか?

Jul 18, 2020.橋本雅彦Tokyo, JP
VIEW48
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail
写真はイメージ(PHOTO:SEVENTIE TWO)

株式会社朝日新聞は、イタリアファッション評議会(カメラータ ナチオナーレ デラ イタリア、以下CNMI)との間でミラノ・ファッションウィーク(=ミラノ・コレクション)のライブ配信コンテンツを日本国内で独占的にストリーミング配信する「ストリーミングパートナー」契約を締結した(7月14日朝日新聞デジタル)。

なんのことやら、しばらく茫然と考えてしまうようなニュースである。ミラノ・ファッションウィークのライブ配信を独占して、何をしようというのだろうか。イタリアファッション評議会の方からまず話があったようではあるが、こういう仕事は、イタリアファッション評議会から「金をもらって」引き受けるような仕事ではないのか。それを「金を払って」権利を買ったようなのである。朝日新聞を通じてでないと「ライブ」でミラノ・ファッションウィークは見ることができませんよということである。

あのプロしか見ることができない「ミラノ・コレクション」が見られますよということでステータスをアップしたいのだろうか。幸いなことにライブ視聴は無料ということである。

しかし無料とはいえミラノ・コレクションをライブで見たいというような消費者がいるのだろうか。昔から、朝日新聞は「ファッションショーは金と購読が取れる」という妄想に取り憑かれてパリやミラノの有名ブランドにランウェイショーをやらせる有料のファッションショーイベントを1980年代に行っていたのだが、バブル経済が1990年に崩壊してからは儲からないのが分かったのかほとんどやらなくなった。そのかつての病癖が再燃したような感じがする。それに今回も「ライブ」というのがミソで、それ以外にメリットはない。次の日になれば、各ブランドがショーの模様は勝手にアップしてくれるので何のメリットがあるのだろう。

それに、地盤沈下を続けるミラノ・コレクションではなくて、まだ一応のステータスがあるのに加えて、「コム デ ギャルソン(COMME de GARÇONS)」「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」「サカイ(sacai)」「ビューティフルピープル(Beautiful People)」など人気日本人デザイナーも多数参加する天下のパリ・コレクションならライブで見たいという消費者はたくさんいそうだが、残念ながらパリコレにはライブストリーミングをする予定はまだないらしい。

そもそもファッションショーというのは、バイヤーとマスコミのためのものであって、一般消費者が覗いてみるようなものではない。まあ、ファッションショーもそうした一部の特権者から解放されて大衆化するのは結構なこととも言えるのだが、もはや一般大衆が憧れるような存在ではファッションショーがなくなっていることを朝日新聞は知るべきなのではないだろうか。

READ MORE