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雑誌『ミセス』廃刊の裏側

Nov 27, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
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文化学園

先月は赤文字御三家の『JJ』(光文社)の廃刊が発表されたが、今月は『家庭画報』(世界文化社)、『婦人画報』(ハースト 婦人画報社)と並んで三大婦人誌のひとつだった『ミセス』(文化出版局)の廃刊が11月20日に発表になった。2021年3月5日発売の4月号をもっての廃刊だ。日本雑誌協会によれば2019年1〜3月期の『ミセス』の発行(印刷)部数は6万8000部で10年前の同時期(約9万5000部)から30%近く落ち込んでいたという。これで文化出版局の定期刊行物は、ファッション誌『装苑』と年4回発行の『ミセスのスタイルブック』だけになった。『ミセス』は1961年創刊だから来年創刊60周年を迎える。創刊したのは、文化服装学院創立者の遠藤政次郎に請われて1952年に『装苑』の編集長に就任した今井田勲(1915〜1989)だ。主婦の友社などでキャリアを積んでいた今井田は『ハイファッション』『ミセス』「銀花』を創刊している。日本のファッション誌創世期の大立者だった。

簡単に言えば、文化学園も学生数の減少やファッションに対する興味の減退で経営が厳しいのだろうということになるが、やはりデジタル化の遅れなど時代に対する対応力のなさが長い歴史のある雑誌の廃刊につながったということになるだろう。

この廃刊発表のあった翌日の11月21日には奇しくも文化学園理事長を1960年から2019年まで務めた大沼淳(おおぬますなお)氏が92歳で死去した。大沼体制時代にはなんとか廃刊を免れていた雑誌ももう持ちこらえられなくなったということか。それとも大沼体制59年間の間に蓄積した負の遺産を一気に整理しているということなのか。その判断は、世界文化社(『Begin』および『MEN'S EX』編集長)からスカウトされた児島幹規・現出版事業部長による『装苑』の今後にかかわっていると言えるだろうか。

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