「ルイ・ヴィトン」や「バーバリー」「ドルチェ＆ガッバーナ」といったラグジュアリーが続々と参入するNFT（非代替性トークン）とは？

米国を中心に、アート業界では早くから注目されていたNFT（Non Fungible Token）だが、ファッション業界でも参入が相次いでいる。NFTとは「非代替性トークン」を意味し、偽造が不可能な鑑定書や所有証明書付きのデジタルデータのことで、唯一無二の世界に1つだけのデータである。仮想通貨と同じように、ブロックチェーン上で発行及び取引がなされる。これまで、デジタルデータはコピーや偽造が簡単にできてしまうためその価値を認められていなかったが、2018年頃に登場したNFTの発展により、1点ものであるという価値が生まれ、アートやゲーム、漫画などに価値を持たせることが可能になった。

現在、主にブロックチェーンゲームやクリプトアートでNFTを活用するコンテンツが、世界的なブランドの中でもトレンドとなっており、特にNFTエンタメ分野は、2021年初頭より数十億円でのNFTの販売が海外で話題となっており、現在最も注目されている分野の1つとも言われている。日本では、世界的な人気ユニットのPerfumeがオンライン・フェスで披露したパフォーマンスを、ライゾマティクスが手掛けたNFTアート作品が話題になった。

「バーバリー（Burberry）」は8月4日、米国・ロサンゼルスに拠点を置くスタートアップ企業のミシカル・ゲームズ（Mythical Games）と提携し、同社の主力タイトルである『ブランコス・ブロック・パーティー（Blankos Block Party）』内で販売されるNFTコレクションを発表し、ゲーム内でのみ購入できる限定コレクションを発売した。『ブランコス・ブロック・パーティー』はミシカル・ゲームズ最初のフラッグシップタイトル作品で、日本でも大人気の『コール・オブ・デューティ（Call of Duty）』の製作にも関わった、ゲーム業界の重鎮率いるチームによって開発されたことでも話題のゲームだ。プレーヤーは、ブランコス（Blankos）と呼ばれるビニール人形を集めて合体させながらフレンドたちとミニゲームで競い合うことで、NFTを獲得できる。

「レベッカ ミンコフ（Rebecca Minkoff）」は9月10日、ヤフー（Yahoo）の技術提供によって、NFTを介してコレクションを発表した。米国の主要ブランドとしては初の取り組みだった。このプロジェクトはニューヨークファッションウィークのタイミングで公開され、モバイル端末とデスクトップでの利用が可能。プレーヤーは、ニューヨークの人気エリアのソーホー（SOHO）やミッドタウンのようなバーチャルな街を好きなように観光しながら、街中に散在する同ブランドの最新コレクションを身にまとったモデルたちの2Dの写真を見ることができる。

LVMH（モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン）は9月17日、「ルイ・ヴィトン（Louis Vuitton）」の創設者、ルイ・ヴィトンの生誕200周年を記念するイベントプロジェクト「ルイ200（Louis 200）」内の取り組みとして「ルイ：ザゲーム（Louis：The Game）」を発表した。ヴィトンのデザイナーとしての旅がモチーフのプラットフォームゲーム「ルイ：ザゲーム」はブロックチェーン技術を採用しており、プレーヤーはゲーム内でファッションアクセサリーを集めることで、NFTを獲得できる。NFTは全30作品のアートで、そのうち10作品は75億円で落札されたデジタルアートの作成者であるビープル（Beeple）によって手がけられた。

「ドルチェ＆ガッバーナ（DOLCE&GABBANA）」は、ブランド初となるNFTコレクションの「ジェネシス コレクション（Collezione Genesi）」のオークションを開催した。9月30日に入札が締め切られ、出品された9点の落札総額は1885.73イーサリアム（当時のレートで約6億3,000万円）だった。これらコレクションは、ドメニコ・ドルチェ（Domenico Dolce）とステファノ・ガッバーナ（Stefano Gabbana）によってデザインされたもので、落札最高額は「The Doge Crown」で、423.5イーサリアム（約1億4,500万円）だった。