「ナイキ(NIKE)」は、サステイナビリティへの取り組みに関するレポートを発表した。「ナイキ」は、自社のイノベーションが世界の都市の気候変動に影響を与えていることに自覚を持ち、日頃から全ての行動を見直すことを心がけている。本レポートでは「ナイキ」が、製品をどのように作るのか、それをどのようにアスリートに届けるのか、さらには使用後の製品をどのように回収して新しいものに変身させるかの3つにわけて記す。
まず、製品をどのように作るのか、素材とデザインに着目する。現在、「ナイキ」、「ジョーダン(Jordan)」、「コンバース(Converse)」の全製品の78%はなんらかのリサイクル素材を用いて作られている。同社の排出するカーボンフットプリントの約70%を占めている素材を調節することは環境保護の大きな機会であるため、リサイクル素材の使用率をさらに増やしていけるよう努めている。具体的には、生産する多くの製品の素材に、スタイルや性能を損なうことなく、低炭素の代替素材を使用する方法を検討しており、主要素材における低炭素素材の使用率を50%に引き上げることで2025年までに50万トンのGHG排出量削減を目指す。このように低炭素素材の代替品を増やしていくことで、最初から廃棄物を出さないデザインを進めている。
次に、製品をどのようにアスリートに届けるのか、サプライチェーンに着目する。「ナイキ」は契約工場や材料サプライヤーと協力し、生産方法やエネルギー調達のより良い代替案を見つけることで、拡張されたバリューチェーン全体で気候変動に取り組む。このアプローチは、製品のライフサイクル全体を通して、炭素エネルギー、廃棄物、化学物質、水に焦点を当て、世界中の環境改善に貢献している。
最後にサステナビリティの中でも最も困難な最終段階、運用と小売に着目する。物流面では、在庫の輸送方法を調節し、製造予定を海運の出港予定に合わせることで空輸を減らした。今後、パリや中国の消費者には、注文商品が電気自動車で配送されるようになる。製品使用後の回収面では、使用後の製品または不良品の寄付、修理、リサイクル数を2025年までに現状の10倍にするという目標を設定している。この目標達成に向けて、使用済み商品を簡単に回収できるようにした。また、履き古したフットウェアの再利用プロジェクトや循環型のビジネスモデルの活性化にも力を入れる。梱包面では、梱包材が廃棄物の大部分を占め、見直し可能である点に注目している。再利用可能な箱、カートンの導入、二酸化炭素排出料を半分に抑えたシューボックスの開発を進める。また、ビニール製のエアー緩衝材の使用を止めたことで、一連の廃棄物処理におけるプラスチック排出量を年間約90トン削減した。
上記3項目をはじめとして、「ナイキ」は地球の未来のために、製品やプロセスにおける業界の基準を変えることを目指している。この目標を掲げ、環境への取り組みを加速すればするほど、次世代のためにも良い影響をもたらすと考えている。また、「ナイキ」ではアスリート側からのアプローチのためのサンバーストロゴの導入や、ナイキコミュニティのアイデアやディスカッションを共有するデジタルコンテンツ「Talking Trash」の公開も予定している。