8月20日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比267円安となる2万7013円で取引を終え、約7カ月ぶりに年初来安値を更新した。取引期間中には一時、2万7000円を割り込んだ。ファッション関連株も値を下げており、ファーストリテイリングは同日、72,050円で取引を終え年初来安値を更新した。同社の株価は2月16日に10万円を突破し、時価総額が一時10兆円を超えたが、現在は約7兆6400億円とこの半年で3割近く下落している。
こうした株安の動きはアジア市場や欧州市場でも進んでおり、2021年上半期決算で純利益が前年同期比10倍増を達成したLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)でさえも、8月20日に620ユーロ(79,360円*)で取引を終え、5日間で株価は約12%下落した。ケリンググループ(Kering Group)も同様で、同日に652ユーロ(83,456円*)で取引を終え、同期間で株価は約16%下落している。コロナ禍から完全復活したと見られていたラグジュアリー系だが、不安定な状況は続きそうだ。
ただ、一方でLVMHはアフター・コロナを見据えて積極的に買収や投資を行なっており、今年7月には、「セリーヌ(CELINE)」のクリエイティブディレクターだったフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)が立ち上げた新会社に投資している。また、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が手掛ける「オフ-ホワイト(Off-White)」を買収し、さらに共同で新規ブランドを立ち上げる。
国内に話を戻すと、東京都では8月21日、新型コロナウイルスの新規陽性者が5074人となり、4日連続で5000人を超えるなど、爆発的な感染状況が続いている。医療崩壊も迫っており深刻な事態に陥っているにも関わらず、国会は閉会したまま、政府や東京都の行き当たりばったりの対応が続いている。感染者が増える冬場までこのまま無策が続けば、株価にも影響が出てくるはずだ。今後の政府や東京都の対応に注目したい。
*1ユーロ=128円(8月22日時点)