1997年以降、その数字は、72→71→71→72→68→73→76→76→78の推移だ。自粛による時間的な余裕が生まれたこと、生活でのデジタル化の浸透により、生活者はウィズ・コロナの新しい生活様式に満足しているという結果が出ていると結論付けている。これは今回の調査で最大の驚きと言っていいのではないのだろう。要するに生活者は、コロナ禍前は、通勤なども含め所属企業に時間をあまりにも取られていたということが明らかになったのではないだろうか。
3.テレワーク浸透で就業価値観が多様化
さて、今回の8月の1万人調査でもうひとつ注目されるのは、テレワークの浸透などにより就業価値観の多様化が起こっているという調査結果だ。会社の発展や出世のために尽くすよりも、ワークライフバランスへの意識が高まっており、近年では副業への意向が高まっていると結論付けている。実際にテレワーク業務を実践できた人は就労者全体ではわずか22%と意外に低い。管理職・事務職・専門職で高く、正社員や従業員数の多い企業ほど高かった。ワークライフバランスへの意識の高まりと結論付けているが、簡単に言って、プライベートライフを重視するようになったということ。これはテレワークした人ほど割合が高く、テレワークで家族と一緒に過ごす時間が増えたことやプライベートライフの充実で、今までの会社中心の生活に対する「反省」が生まれたようだ。
4.デジタルレジャーが伸長し、ショッピングもインターネットで完結
これまで拡大してきた「外食・グルメ・食べ歩き」や「映画・演劇・美術鑑賞」、「カラオケ」などの「街レジャー」は減少し、代わりに動画配信サービスの利用拡大を背景に「ビデオ、DVD鑑賞」などのデジタルレジャーが伸長。さらに消費に関しては「実際に店舗に行かずに、インターネットだけで商品を買うことがある」のは、2012年の28%から2021年にはなんと49%まで伸長。
5.「プレミアム消費」スタイルが増加
野村総合研究所では消費傾向について「利便性消費」「プレミアム消費」「安さ納得消費」「徹底探索消費」の4つの指標を設定しているが、2000年以降のその推移は:
・利便性消費 37→35→36→34→37→44→44→41
・プレミアム消費 13→18→19→20→22→22→22→24
・安さ納得消費 40→34→32→31→27→24→24→24
・徹底探索消費 10→13→13→14→14→10→10→11
強いてあげれば、プレミアム消費の伸長か。これもコロナ禍による影響が大きいようだ。
6.中高年層におけるスマートフォン保有が伸長。消費の情報源はネット
スマートフォンの個人保有率は、生活者全体では、2012年23%、2015年52%、2018年71%、そして2021年84%と伸長。特に50代以上の中高年層で伸長が著しく、70代では男性57%、女性54%という水準。消費の際の情報源は、「TVのCM」および「ラジオ、新聞、雑誌の広告」は2012年以降減少を続け、「ネット上の売れ筋情報」「評価サイトやブログ」といったネット情報の参照割合が伸びている。