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この5年間は、経常利益で軽く200億円を超えていたいわば我が世の春を謳歌していた黄金時代のオンワードホールディングスである。それでも現預金が大きく減っているのは、不動産投資や海外投資(ジル・サンダー社を264億円で買収したのは2008年9月)などのためだ。
しかし2020年2月期は、経常利益はマイナス38億3500万円で、当期利益はマイナス521億3600万円。現金及び預金は287億円。ついでに書けば、純資産はついに1000億円を割り込んで943億円。ピークは2007年2月期の2251億円だったら、半分以下に減少した。長らく50%以上だった自己資本比率も一気に38.3%(時価ベースだと30.1%)へ下落した。正直言って、大手アパレルメーカーナンバーワンを誇った盤石の経営基盤も危険水域に入っている。ここにきてのコミットメントライン契約も不測の事態に向けての契約ではあるが、この500億円に手をつけるような事態も容易に予想されるほどだ。手元資金が底をついているのだ。
周知のように、同社は構造改革が遅れて今回の新型コロナウイルスの影響がほとんどなかった今年2月期決算でさえ営業利益マイナス30億円、経常利益マイナス38億円、当期利益マイナス521億円を計上していた。それが3月、4月、5月と「コロナ・ショック」で売上高は前年のほぼ50〜70%という水準で推移している。言ってみれば「手術中に停電」になってしまったようなものであって、弱り目にたたり目状態。ここで浮上するのは容易なことではない。
幸い今週から各商業施設の営業再開が徐々に始まっているが、リカバリーが可能なのかどうか。このまま沈んでいってしまうのか、最大手オンワード号の動向が注目されるところだ。