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Japan|「手術中に停電」のオンワードが200億円のコミットメントライン増額

May 29, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
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オンワードホールディングスは5月27日付で、三井住友銀行をアレンジャーとする銀行団4行(三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行)とコミットメントライン契約を締結した。新型コロナウイルスによる事業への影響が長期化することへの備えを万全にするための資金確保が目的だ。

その金額は200億円でコミット期間は今年5月29日から2023年5月30日まで。オンワードホールディングスは従来、シンジケート方式によるコミットメントライン(極度額合計300億円)を設定していたが、今回の新規枠設定により極度額は合計500億円になった。なお同社は三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行を中心に金融機関10行と個別に当座貸越契約を締結しており、2020年4月時点で347億円の未使用枠を確保している。

コミットメントラインとは、銀行が融資を実行することを約束する契約のことだ。不測の事態に備えた融資枠であるが、当然金利と手数料が必要になる。

オンワードホールディングスの有価証券報告書で、2020年2月29日時の現金及び預金の額は287億円。例えばこの現金及び預金の額を振り返ると、リーマン・ショック(2008年9月15日)前の5期についてみると(カッコ内は経常利益)
2004年2月期:878億円(252億円)
2005年2月期:815億円(262億円)
2006年2月期:560億円(271億円)
2007年2月期:573億円(274億円)
2008年2月期:367億円(241億円)

この5年間は、経常利益で軽く200億円を超えていたいわば我が世の春を謳歌していた黄金時代のオンワードホールディングスである。それでも現預金が大きく減っているのは、不動産投資や海外投資(ジル・サンダー社を264億円で買収したのは2008年9月)などのためだ。

しかし2020年2月期は、経常利益はマイナス38億3500万円で、当期利益はマイナス521億3600万円。現金及び預金は287億円。ついでに書けば、純資産はついに1000億円を割り込んで943億円。ピークは2007年2月期の2251億円だったら、半分以下に減少した。長らく50%以上だった自己資本比率も一気に38.3%(時価ベースだと30.1%)へ下落した。正直言って、大手アパレルメーカーナンバーワンを誇った盤石の経営基盤も危険水域に入っている。ここにきてのコミットメントライン契約も不測の事態に向けての契約ではあるが、この500億円に手をつけるような事態も容易に予想されるほどだ。手元資金が底をついているのだ。

周知のように、同社は構造改革が遅れて今回の新型コロナウイルスの影響がほとんどなかった今年2月期決算でさえ営業利益マイナス30億円、経常利益マイナス38億円、当期利益マイナス521億円を計上していた。それが3月、4月、5月と「コロナ・ショック」で売上高は前年のほぼ50〜70%という水準で推移している。言ってみれば「手術中に停電」になってしまったようなものであって、弱り目にたたり目状態。ここで浮上するのは容易なことではない。

幸い今週から各商業施設の営業再開が徐々に始まっているが、リカバリーが可能なのかどうか。このまま沈んでいってしまうのか、最大手オンワード号の動向が注目されるところだ。

 

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