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恥も外聞も気にしないバロック、パル、アダストリアの商売根性を見習え!

Nov 12, 2021.三浦彰Tokyo, JP
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11月12日の繊研新聞を見ていたら、バロックジャパンリミテッド(JL)の婦人靴「スタッカート(STACCATO)」がコロナ下にあっても好調だという記事があった。今年春夏ではサンダルの販売が前年を超え、今秋冬に関しては9月以降の売り上げがコロナ禍前の水準を超えているのだという。主力購入層は40〜50代だが、今秋冬のブーツなどのトレンドアイテムでは20〜30代の購入が目立つという。「スタッカート」はバロックJLの中国事業の合併相手のベル・インターナショナルが保有するブランドだ。そればかりか、ベル・インターナショナルは同社の100%子会社のミューチュアル・クラウン社によってバロックJLの株の31.96%を936万3022ドル(約105億円 1ドル=113円換算)で買って、最大株主になっている。要するにバロックJLは中国最大の靴小売り企業ベル・インターナショナル傘下と言っていいので、「スタッカート」への本気度が違うのである。

そう言えば、大手アパレルの最大手オンワードホールディングスも、かなりの意気込みでシンガポールの靴ブランド「チャールズ&キース(CHARLES & KEITH)」を2012年に導入していたのを思い出す。しかし2016年に契約が切れて、2017年にチャールズ&キースグループが100%出資した日本法人で日本進出に再チャレンジしている。なぜオンワードは「チャールズ&キース」のビジネスを軌道に乗せられなかったのだろうか。それほど日本人にマッチしないブランドだとは思えないのだが。何がその本格化を邪魔したのだろうか。一つには、靴という商材に対する本気度が不足したのではないか。手掛けるオンワード社員に、「靴よりファッション&アパレルの方が上」という意識があったのではないか。

やはり同日の繊研新聞には、パルホールディングスの「スリーコインズ(3COINS)」が原宿・明治通りに初の旗艦店(227店舗目)を11月12日にオープンする記事が載っている。300円を中心に多彩な雑貨を提案しているが、同ブランドは今上期(2021年3〜8月)前年比+83.8%という驚異的な進捗を見せた。これを含め第2四半期(2021年3月~8月)のパルグループホールディングスの雑貨事業は233億2500万円(前年比+78.3%)。対して衣料事業は398億2400万円(前年比+24.2%)となっている。雑貨事業の売上高シェアは実に36.9%というとんでもない割合。「スリーコインズ」の売り上げは259億6000万円(そのほとんどは雑貨)。もう「スリーコインズ」が屋台骨を支えていると言ってもよいぐらいなのだ。パルホールディングスは百均屋なのかという冷やかしの声も聞こえるが、先入観なく時代の要求に答えていると言えばそれまでのことである。ここには見栄や外聞などというものがない。

最近知り合いの若い編集者が「餃子の王将」のロゴが入ったプリントシャツを着ているのでからかったら、それがアダストリアの人気ブランド「レイジブルー(RAGEBLUE)」と「餃子の王将」の今年4月に発表された第2回目のコラボ商品だと知って驚いた。さらにこのコラボ商品にはプレミアムがついているのだという。我々の世代では一番ファッションと縁遠いのが「餃子の王将」だが、これが「クール」だというのである。これとコラボするアダストリアという企業にも驚き感心するが、やはり売れるならそこには「恥も外聞も先入観もない」という商売人のド根性を感じる。

バロックJL、パルホールディングス、アダストリアいずれも、直近の四半期決算(バロックJL:8月第2四半期、パルホールディングス:9月第2四半期、アダストリア:8月第2四半期)で、コロナ禍からの見事にリカバリーして、増収で黒字化を達成しているのは偶然とは思えないのだ。

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