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パレモHD株を17%買った西松屋と抜け目なく投資回収図る投資ファンド

Aug 6, 2021.三浦彰Tokyo, JP
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子ども・ベビー用品専門店の西松屋チェーンは、衣料品・雑貨専門店を展開するパレモ・ホールディングス(HD)の株式総数の17.67%(議決権付き)を8月6日取得した。市場外取り引きによって1株150円で208万7242株を購入。約3億1300万円が取得価格だ。

これによって、西松屋チェーンはパレモHDの筆頭株主になった。売却したのは、パレモの筆頭株主の投資ファンドのエンデバー・ユナイテッド・パートナーズ・スリー(東京都千代田区)だ。

この発表があった7月30日(金曜日)のパレモHDの終値184円だったが、翌週の8月2日から急騰し、8月3日には268円まで上昇した。西松屋チェーンがこのパレモHDを買収して経営再建に乗り出すのではないかという期待感からの買いであろう。

気になるのは取得価格が1株150円という信じられないような値段。この株価は一時は3067円(2004年7月16日)まで上昇した同社の最高株価は別にしても、最近では5月21日の終値169円が最安値であるから、この譲渡価格は投資ファンドのエンデバー・ユナイテッド・パートナーズ・スリーとしては、「もう私たちの手には負えません。」のギブ・アップ宣言のようにも見えるが。

ベビー・子ども服の西松屋チェーンは、今年の3月決算では、売上高1594億1800万円(前年比11.5%増)、営業利益120億9400万円、(同533.7%増)、経常利益123億7400万円(同426.8%増)、当期純利益82億7600万円(同668.0%増)とこのコロナ禍において、史上最高決算をマーク。「値引きしなくても売れる商品供給体制づくり」に成功したと言われるが、そのノウハウがパレモHD再建に活かされるのかどうか。

今から5年前の2016年9月から10月にかけてフェニックス・キャピタルグループが組成した投資ファンドのエンデバー・ユナイテッド・パートナーズ・スリーがユニーグループ・ホールディングスからその62%をTOBによって約7億5000万円(1株あたり100円)で購入した。ユニーでの店舗展開が主力だったユニー系アパレル専門店だったのがパレモHDだ。ユニーグループ・ホールディングスは、ファミリーマートとの統合を控えて、パレモの不採算事業の売却を行なったのだ。

それから、5年経過しようとして、結果を出さなくてはいけないエンデバー・ユナイテッド・パートナーズ・スリーが株式の売却先として見つけたのが西松屋チェーンだったようだ。2016年9月~10月のTOBでユニーグループ・ホールディングスから買った株価は100円なのだから、よく考えてみると西松屋への1株150円の売却も十分に利益が出ているのである!さらに、このコロナ禍で商品の企画・流通・販売のシステムを確立した西松屋チェーンを再建のパートナーに選んだことで、株価は上昇する可能性が高い(8月5日終値258円)。そこまで高望みしなくても最悪残りの株式を西松屋チェーンが150円で買ってくれるなら、5年間で十分な利益が出たプロジェクトになる。こんな具合に投資ファンドというのは本当に抜け目がないのである。

パレモHD(東証2部上場)は、現在「ギャルフィット(GALFIT)」や「スズタン(SUZUTAN)」などの婦衣料ブランドのほか、300円均一の「イルーシーサンマルマル(illusie 300)」など410店舗を展開(2021年2月末時点)。2021年2月期では売上高182億5700万円(前年比-24.2%)、営業赤字13億2500万円(前年営業利益5億400万円)、経常赤字13億2100万円(前年営業利益4億9400万円)、親会社株主に帰属する当期純利益18億8000万円の赤字(前年3億5000万円の黒字)。

今回の西松屋チェーンの3億1300万円は大した投資でもないが、今後やり方ひとつで、劇的な経営改善が可能な感じがしないでもないが、どういう展開になっていくのが注目のパレモHDだ。

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