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自主再建へ最後の勝負、三陽商会

Apr 17, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
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「拙速を避けよ」という言葉があるが、経営トップである社長がこうコロコロと代わると社員の士気に影響が出るのは必至で、何をやっているのかということになる。三陽商会の社長交代のことである。同社は昨年10月30日の取締役会で1月1日付の岩田功代表取締役社長の取締役降格(社長在籍は2017年1月から3年間)と中山雅之取締役常務執行役員(58)の社長昇格を決めた。そのわずか4ヵ月後の4月14日にその中山社長が代表取締役副社長に降格し、現在副社長の大江伸治氏(72)が5月の株主総会で社長に就任することになった。大江氏は三井物産出身で、ゴールドウインを再建した手腕を買われて3月に三陽商会に入社した。同社の三井物産出身の社長には田中和夫氏がいる。2007年3月に創業ファミリーの中瀬雅通氏の後を受けて社長に就任していた。創業家からの経営の移管とバーバリー社との提携維持がその役割だった。その後、2007年にプロパーである杉浦昌彦社長にバトンタッチして、2015年についにバーバリー社とのライセンス契約が終了し、同社の暗黒時代が始まった。その命運を託された大江新社長は救世主になれるのだろうか。大江氏や4月にゴールドウイン新社長になった渡辺貴生前副社長によるゴールドウイン再建の最大のポイントは、なんといっても現在ゴールドウインの屋台骨「ザ・ノース・フェイス(The North Face)」の日本における永久ライセンス権を取得したことに尽きるわけだが、今回の三陽商会再建は縮小均衡によるリストラが当面の動きになる。早くも不採算店を最大150店舗閉鎖することを検討しているという。2020年2月期の連結での最終赤字は26億円で4年連続。今期も新型コロナウイルスのために赤字は確定的だから、来期の黒字化が自主再建のための絶対条件になる。それができないと三井物産を中心にした再建に移行していくことになりそうだ。

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