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年商50億円!集英社「ハッピープラスストア」は百貨店にもハッピープラスか!?

Oct 29, 2021.三浦彰Tokyo, JP
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繊研新聞の10月29日号に集英社の公式ファッション通販サイト「ハッピープラスストア」が売上高50億円の事業に成長している記事が掲載された。この店舗で販売しているのは、主に「リー」「マリソル」「エクラ」の掲載商品と各雑誌のオリジナルアイテムだ。アパレルがメインだが、化粧品や生活雑貨も扱っている。

この50億円という数字にまず驚かされる。リアル店舗は9店というから1店舗あたり5億5000万円。とんでもない数字である。年間にこれだけ百貨店のショップで売る店は現在ではラグジュアリーブランドだけだろう。各誌は毎号、テーマを設けて特集を組み、これをハッピープラスストアのサイトに転載。ECで販売を促し、試着できるスペースとして店舗へ送客する。またハッピープラスストアでは原則として商品を持ち帰れるのが大きな強みになっている。欠品の場合はすぐにECと連動して商品を発送してカバーするという。

会員数は現在120万人、実店舗は9店だがいずれも駅近の有名百貨店ばかりだ。来年2月には伊勢丹立川店がオープンするという。単なるOMO(オムニチャンネル)ではなく、さらに大手出版社の雑誌を加え、リアルな店舗は駅近の百貨店という三位一体ビジネスというところが、年商50億円、会員数120万人を達成できた理由だろう。

雑誌不況といっても、集英社「リー」「マリソル」「エクラ」という看板は消費者の「安心」を保証するのだろう。A社のBブランドというだけでは、OMOだろうがリアル店舗だろうが、消費者は動かなくなっている。雑誌を巻き込んでこれぐらいのことをしなければ消費者は財布のひもを緩めないのだ。

ただし、気になるのは利益配分だ。掛率60%として仮に定価10万円で、A社のBブランドが売れたとしてA社には6万円、百貨店と集英社は利益の4万円を2万円ずつ平等に分けることになるのだろうか。百貨店としては、従来の利益の半分ということになるのだが、「売れない商品をダラダラ並べているよりは雑誌の力で売ってくれるならその方がいい」という判断だ。最近のそごう・西武の「チェンジベース渋谷」にしても大丸松坂屋の「明日見世」などがD2Cブランドに場所を貸しているのも同じ理屈で「利益は二の次で売れるのだったら場所貸します」ということなのだろう。ましてや従来型の感覚の古い商材では消費者は買ってくれないということなのだろう。

それにしても、このハッピープラスストアの商品選択は雑誌の編集者なのだから、いまさらながら百貨店のバイヤーは何をやっているのか?ということになる。PB(プライベートブランド)の企画・生産・販売もダメ、商品のセレクトもダメということになると、結局立地の良い店舗だけが取り柄ということなのだろうか。

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