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第1四半期赤字のユナイテッドアローズが酒販を本気で考えている?

Aug 12, 2021.三浦彰Tokyo, JP
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ユナイテッドアローズをファッションセンス溢れるセレクトショップだと思っている業界人はまずいないだろう。「ファッションセンスがあるように見える」SPA企業というのが実態である。だから、ファッション博士のような栗野宏文上級顧問とかファッションセンスのかたまりのような小木POGGY基史(2018年9月独立)のような人材をことのほか大切にして来たのだ。そして、その一方でユナイテッドアローズという企業はカリスマ創業者の重松理氏が銀座や祇園の粋な遊び人として有名なことが影響しているが、「粋」で日本的なものを大切にする企業風土というのも残っている。毛利元就の三本の矢に由来する社名がそもそもそんな感じだ。

そうした風土で、ユナイテッドアローズが日本酒の販売を熱心に行っていると聞いても、さほど驚きはなかった。 2020年から栃木の酒蔵による「仙禽×UNITED ARROWS」の販売を始めたのだ。従来は青山ウィメンズストア1階の「UA BAR AOYAMA」と原宿本店1階「UA BAR」で販売し完売したのをうけて、今年8月その3回目になる「仙禽×UNITED ARROWS」の販売を8月13日からユナイテッドアローズ原宿本店とエイチビューティー&ユースで行う。750mlボトルが税込み2500円。ネットでUAのサイトに申し込む。「AKA」と「AO」の2種類があって、1種類について1人1本のみのエントリーで抽選ということらしい。かなり倍率高めのようである。

UAはどれくらい本気で酒類販売を考えているのだろうか?この仙禽×UAなどはまだ序の口だろうが、希少性のあるワイン、シャンパーニュ、リキュール、スピリッツなどはかなり魅力的な商材のはずである。しかし専門店と勝負して勝ち目があるのだろうか。それとも、来店のきっかけをつくるためのひとつの手段として考えているのだろうか。

「クロムハーツ(CHROME HEARTS)」喪失の痛みがいよいよ今期から始まっているUAだが、新たなビジネスの一手として、嗜好性の強い酒類販売は悪くない選択にも思える。

「別に酒を売らなくても、もっと他にやることがあるだろう。モチはモチ屋だろう。」という声も聞こえてくるが、ハンドバッグの「フェリージ(Felisi)」を手掛けていたフィーゴを売却するぐらいなのだ。アパレルでもプライベートブランドの成功例も最近はほとんどなく打つ手がなくなっているのは事実。ちょっと目先を変えて、酒類販売はやってみる価値があるかもしれない。

松崎善則新社長が4月に就任して、初めての四半期決算になる第1四半期決算が8月6日に発表になったが、主要項目は以下の内容だった。

・売上高252億6400万円(前年比13.8%増)
・営業利益−9億300万円(前年は−50億1900万円)
・純利益−7億1800万円(前年は−49億4000万円)
・親会社株主に帰属する四半期純利益−6億4800万円(前年は−35億8200万円)

この第1四半期での黒字化はならなかったが、やや「光」は見えてきている。そういう状況下で、ユナイテッドアローズは早く次の一手を見つけ出してもらいたいものである。

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