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Japan|自粛解除はいつになるか?求められる「ニューノーマル」

May 10, 2020.久米川一郎Tokyo, JP
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緊急事態宣言が発令され、人がまばらな渋谷スクランブル交差点(PHOTO:SEVENTIE TWO)

毎夕新型コロナウイルスの東京都の感染者数を小池百合子東京都知事がご丁寧に発表しているが、PCR検査数は未発表である。例えば5月5日の感染者(判明)数は58人だが、その検査実施数はわずか109人だと日刊ゲンダイは暴露していた(5月7日)。全くこんなものに一喜一憂しても仕方がない。なんとなく少なくも東京都の感染者総数はその総人口1400万人の5%だとすると70万人、1%だとすると14万人。恐らくもうすでに感染者はどう少なく見積もっても10万人は下らないのではなかろうか。あの無意味な発表は小池都知事の印象を悪くするだけだからやめた方がいい。

そして安倍晋三総理の緊急事態宣言も本当に評判が悪い。5月14日をメドに様子を見て順次自粛を解除していくという。いよいよ「命が大事なのか、経済活動が大事なのか」という二者択一のギリギリのせめぎ合いが始まっているようである。

最近言われ始めているのが、失業率と自殺者の相関関係である。実数についてはバラツキがあるが、以下紹介してみる。日本での年間自殺者の数は現在1万9959人(2019年)。バブル経済崩壊(1990年)から増え続け、2003年には市場最多の3万4427人を数えた。しかしこれをピークにして減り続け、現在は2万人をついに割り込んだ。2012年から始まったアベノミクスの最大にして唯一の社会貢献と言うことができるかもしれない。しかしそれもこの「コロナ・パンデミック」によって元の黙阿弥になろうとしている。

前述した自殺者と失業率の相関関係だが、日経ビジネスの山川龍雄・編集委員は失業率が1ポイント悪化すると自殺者は1000〜2000人程度増える傾向があると日経ビジネスで書いている。現在の日本の失業率はアベノミクスの恩恵もあり2.4%(2019年)。しかしこれが6.0〜8.4%まで上昇すると予想しているレポート(京大レジリエンス実践ユニット)もある。失業率1ポイント上昇で仮に1000人の自殺者増加だとしても年間3600〜6000人の自殺者が増加することになる。現在の新型コロナウイルスによる(この言い方も正確性を欠くと言う意見もある)日本全体の死者数は551人(感染者数1万5300人。5月7日現在)。誤解を恐れずに言えば、コロナで死ぬのかコロナによる経済活動自粛で死ぬのか、とうことになる。両者はトレードオフの関係(何かを得れば何かを失う)になっているのであるが、どこかで妥協点を見出さなければならないだろう。5月31日に「基本的には自粛を解除だが、第二次感染に備えた生活は継続」という相変わらず曖昧な総理発表があるのではなかろうか。

テレビを見ていたら自粛解除が進んでいるパリでは「ニューノーマル」という言葉が使われ出しているという。「マスク、パブリックディスタンスなど三密を避けた買い物のルール、入店前の手のアルコール殺菌」などの買い物スタイルのことだ。新型コロナウイルスの完全制圧までは1年以上の長期戦になるのは確実であり、パリのみならずこの「ニューノーマル」がライフスタイルに定着していくのだろう。そんな面倒なスタイルが嫌いな人々はネットショッピングにどんどん避難していくのだろう。

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